こんにちは!配食のふれ愛のコラム担当です!
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急な発熱や痛みなどのつらい症状が出てくると病院へ行く、という方でも、「何となく」体がだるいなどという不調が続く場合は放置してしまい、定期健康診断の結果を見て、数値の異常に驚かれた、ということはないですか?
今回は、特に気づきにくい腎臓の不調と、尿素窒素や尿中タンパク量の意味や、食事において気を付ける点について、ご紹介します。
目次
そもそも腎臓の機能とは?
腎臓は私たちの体の背中側、腰の少し上に、背骨を中心に左右対称に一つずつ位置しています。
そら豆を縦においたような形で、握りこぶし程度の大きさがあります。
腎臓には、下の絵に見るような「糸球体」と呼ばれる細い血管が球のように丸まった、いわば浄水器のフィルターのような組織が100万個ほども集まってできています。
心臓から送り出された血液は体中を巡り、腎臓に到達すると糸球体の中を通り、余分な水分や老廃物が濾しとられ、きれいになって、再び体内を巡ります。
一方、この時にでた老廃物は「原尿」と呼ばれ、この中から私たちの体に必要なミネラルやビタミン類、体に必要な水分をもう一度吸収して、不要な成分や水分を尿として体外へと排泄しています。
このように、腎臓が老廃物やナトリウムを尿として排泄してくれることで、私たちの体は常に健康な状態を保つことができているのです。
腎臓機能の低下とその症状とは?
まずは、腎臓の機能低下と尿素窒素やタンパクについて、ご紹介します。
(1)尿素窒素
尿素窒素とは、私たちの体内でたんぱく質が利用された後に残る、老廃物のことです。
腎臓が健康な状態で働いている場合なら、濾過されて尿と一緒に排出されています。
ところが、腎臓の働きが低下すると、ろ過しきれなかった尿素窒素が血液中に残って増えてしまい、数値が高くなっていきます。
尿素窒素の数値が高くなればなるほど、腎臓の働きは弱まっており、本来の役目を果たすことができなくなっていると考えられます。
基準値として、血液1デシリットル(dl)中に含まれる尿素窒素の量は7~23mgが正常値とされています。
(たんぱく質を一時的に多く取り過ぎた場合、妊娠中や激しい運動後、また、年齢・性別によっても数値の幅があります。詳しくはかかりつけ医にご相談ください。)
【尿素窒素の基準値と目安となる状態】
尿素窒素(BUN、UN):基準値7~23mg/1dl中 | |
数値(mg/1dl) | 状態 |
25~79 | 腎機能の異常 |
80~ | 尿毒症 |
(2)タンパク
病気でなくても、体に負担がかかる激しい運動をした後などには、尿にタンパクが混ざってしまうことがあります。
しかし、特に激しい運動もしていないのに健康診断の尿検査の結果「タンパク尿」を診断された場合は、尿素窒素が高いのと同じように、腎臓の機能が低下している可能性が高くなります。
尿素窒素の異常やタンパク尿は慢性腎臓病のサイン
もし、これら2つのサインを見逃したまま、これまでと同じ生活を送り続けていると「慢性腎臓病」を引き起こす可能性が大変高くなってきます。
健康診断で指摘されたにも関わらず放置していたり、気がつくことなく症状が進行してしまったりすると、「慢性透析」が必要な状態になることもあります。
ここで日本透析医学会が2018年に発表した「慢性透析患者数」の推移を見てみましょう。
出典:日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2018年12月31日現在)」
「透析」というと他人事のように感じている方も多いと思いますが、この推移を見るとわかるとおり、年を追うごとに患者数が増えています。
わかりづらい腎臓の不調
腎臓病は、初期の場合、自覚症状がほとんど現れません。血液検査や尿検査をしない限り、発見することが難しいのが現実です。
腎臓の不調によって「何かおかしいな」と感じるときや気づいたときは、すでに腎臓の機能がかなり低下し、症状が進行しているということなのです。
腎臓病の種類やその影響とは
ひとことで「腎臓病」といっても、種類はあるのでしょうか?また、どのような症状が現れるのでしょうか?
腎臓病には2つある
(1)急性腎障害
発症から数日、ときには数時間のうちに急激に症状が進行し、腎機能が低下する状態です。
原因としては、
・血流障害
・糸球体疾患
・薬剤性の腎障害
などがあります。すぐに手当することで、回復することがほとんどです。
しかし手当が遅れると命に関わることもありますので、急な倦怠感やむくみなどの自覚症状が出た場合は、速やかに病院で診察してもらうことが必要です。
(2)慢性腎臓病
ほとんどの腎臓病はこちらです。かかっていても気づきにくく、知らない間に慢性になっていることがよくあります。
慢性腎臓病について理解しよう
私たちが尿素窒素やタンパク尿の異常から気をつけておかないといけないのは「慢性腎臓病」です。
ここからは、慢性腎臓病について理解しておきましょう。
(1)命の危険に関わることも
腎臓病の状態が軽度だったとしても、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞に狭心症と、命に係わる病気を引き起こすことがあります。
(2)他の病気の原因になる可能性が高い
腎機能が低下すると、血液の浄化がうまく進まなくなります。
本来であれば、血液は、酸素や栄養分を体の隅々まで行き渡らせ、発生した老廃物や二酸化炭素を受け取り、私たちの体を正常に保っています。
ところが、慢性腎臓病になり、糸球体で浄化しきれていない血液が全身を巡ると、酸素や栄養分の受け渡しが上手くできなくなり、体のあちこちに病気が出てしまう可能性が高まります。
だるさや息苦しさ、動悸、めまいをはじめ、むくみなどからはじまり、ホルモン分泌も低下していくことなどから骨がもろくなることもあります。
このように慢性腎臓病は、やがて全身に大きな影響を及ぼすことから、早期発見をし、進行をさせない取り組みが重要になってきます。
腎臓への負担を減らす食事
お薬や運動と同様、毎日の活動や生活に欠かせないのが食事です。
食事を整えることは、生活習慣を整えることにもつながります。腎臓を労るつもりで取り組みましょう。
食事制限は専門家の指導を受けて
腎臓病を患うと、とにかく食べないでおこうとする方がいらっしゃいますが、必要以上に食事を減らすと、栄養不足から体力・免疫力なども低下し、体調がより悪化することがあります。
反対に「制限しないといけないけれど、明日からがんばる」と言って、食べ過ぎてしまっている方もいらっしゃいます。
これでは腎臓への負担が減ることはありません。必ず、かかりつけ医や栄養管理士など、専門家と相談しながら、①食べてもいい食品や量、②食べてはいけない食品や量、③ルールを守って食べてもよい食品や量、についての指導を受けておきましょう。
塩分コントロール
塩分(ナトリウム)をとりすぎると、のどが渇きやすくなり、ついつい水分を取り過ぎてしまいますね。
これは、体内にたまった余分なナトリウムを薄めるために起こる生理反応です。
血液中に過剰に存在するナトリウムを薄めるため、体は、水分を増やして血液を薄めます。
その結果、増えてしまった血液を全身に送り届けるため、心臓に負担がかかり、高血圧を招きます。
また、水分を取り過ぎると、その排泄のために、腎臓に負担がかかります。
処理しきれなかった水分は、やがて血液中から皮下組織を中心にあふれてしまい、むくみとして現れることになります。
塩分は控えめにする、摂取に制限がある場合はきちんと守る、と言われるのは、これらの理由からなのです。
1日の塩分摂取量(食塩摂取量)の基準は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、男性7.5g未満、女性6.5g未満としています。
また日本高血圧学会では1日6g未満、WHO(世界保険機関)では1日5g未満とされています。
タンパク質やカリウムなどもコントロール
病状によっては、タンパク質やカリウムも控えめにすることを指導されます。
冒頭でご紹介したとおり、尿素窒素は、たんぱく質が利用された後にできる成分だからです。
どちらも、私たちの健康を維持するうえで大切な栄養素ですから、私たちの体に必要な量を取り、腎臓の負担を増やさないように食べることが必要です。
また、たんぱく質の摂取で注意が必要なのは、市販のプロテインです。本来、一部のボディービルダーの方が筋肉をつけるために使用されていたものでしたが、近年、とても一般的になってきていますね。
中には食べ物からではなく、人工的に合成されたプロテインやアミノ酸が混ぜられているものもあり、これらは、一般的に腎臓に大きな負担がかかるとされています。
医療用の栄養補助食品として医師から勧められる場合を除き、自己判断で利用するのは危険を伴うこともあります。
病気の進行状況や腎臓の状態を考慮し、かかりつけ医や管理栄養士から取ってもよい肉類や魚介類の量の指導を受けることができますので、相談してみてくださいね。
コーヒーは飲んでも良い?
食後や朝食時にコーヒーを飲まれる方は多いですね。コーヒーにはカフェインが含まれ、体に良いという方、悪いという説、賛否両論です。
こと腎臓表についてはどうなのでしょう?
上の表は、1999年~2010年の米国国民健康栄養調査のデータベースから、腎臓病を持つ18歳以上の男女4863名を解析した、コーヒー飲用と腎臓病による死亡の関連を示したものです。
カフェイン摂取と脂肪の関連を解析したところ、カフェインの摂取量が増えると、死亡リスクが有意に低下することが示されました。
食事だけでなく、適度な運動で腎臓を守る!
当然のことですが、適度に体を動かすことも必要です。
運動不足は生活習慣病や動脈硬化、骨粗鬆症などを引き起こす原因にもなりますし、体を動かすことで血行が良くなるほか、睡眠の質も向上すると言われています。
逆に、体を動かすことが減ると、筋肉量が低下して血流も悪くなり、加齢も伴って、フレイルやサルコペニアを招いてしまうことがあります。
激しい運動ではなく、日常生活の中で続けられる、体に負担が少ない運動を継続して行うことが大切です。
お薬
お薬は食事制限と同じで、かかりつけ医の指導のもと服用することが大切です。
近しい誰かの病状が回復したから同じものを、というのではなく、あなたの症状に必要なお薬を、きちんと決められた用法・容量で飲むことが重要です。
また、一部の栄養補助食品やサプリメントは、先ほどご紹介したプロテイン同様、腎臓に負担がかかるものがありますので、摂取する時には医師の指導を受けてくださいね。
バランスの良い食事をつづけるコツ
塩分(ナトリウム)、たんぱく質、カリウム…。
食事制限を考えたメニューを作って食べる、というのはハードルが高く、すぐに挫折してしまう方もおられます。
しかし、実践しないとすぐに症状は進行してしまいます。
とはいえ、仕事や家事の合間に、家族の分とは別に一人分の除去食を作るのは、確かに大変ですね。
食事制限を挫折せず、バランスの良い食事をつづけるためには、「配食のふれ愛」のお弁当を利用するという方法があります。
配食のふれ愛のお弁当は、普通食だけではなく、塩分やカロリー計算が必要な方向けのカロリー調整食、また、たんぱく質の摂取量計算が必要な方向けのたんぱく調整食も、用意されています。
管理栄養士が食べる方のことを想って考えた、原材料にこだわり、栄養バランスのよい食事をご自宅までお届けしております。
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腎臓は肝臓とともに、「肝心要(かんじんかなめ)」と言われるとおり、とても大切な臓器です。が、なかなか症状が現れない、沈黙の臓器でもあります。
初期症状を見極めるのはとても難しいため、定期健康診断は必ずうけ、尿素窒素や尿中タンパク量の異常は見逃さず、少しでも異常が見られた場合はしっかりと病院にかかり、早めに治療をすすめてくださいね。