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高齢者の方が心配や不安をもっておられることの中に、トイレとお風呂での介助があります。トイレは自然現象ですから自分でコントロールすることができません。お風呂はこれまでの習慣や精神的な理由から、定期的に体を洗いすっきりしたいという気持ちをなくすことはできません。
でも、自分一人では若いときのように簡単にはいかない。そんな思いをされている方もいらっしゃるのです。この記事では、トイレとお風呂の不安をできるだけ軽減し、快適な生活を健康的に続けてもらうために必要な、介助のポイントについてお伝えしていきます。
目次
トイレ介助で最も重要なことは尊厳です
トイレに行きたくなるのは、人が生きている証拠です。誰もが生理現象としてもっている行動です。そしてトイレは私たちの暮らしの中でも、特別なプライベートな行為です。
「トイレは誰にとってもデリケート」
若いからイヤ。高齢者だから気にしないはず。そんなことはありません。人は誰でも同じように「トイレは見せたくない」「自分ひとりでしたい」という願望を持っています。
そのため、高齢者の方の中には「ひとりでトイレに行くのが不安」な人は、恥ずかしい気持ちや遠慮する気持ちが先立ち、我慢できなくなるギリギリまでトイレへ行きたいことを伝えられないことがあります。
また、勇気を振り絞って介助してくれている人へ頼もうとしたとき、ちょうどタイミング悪く忙しそうだったので、伝えずに我慢してしまったということもあります。
私たちがトイレの介助で気をつけておかないといけないことは、できるだけ自然にいつでもトイレへ行ってもらえるように支援することです。そのためには、
・プライバシーへの配慮
・決まったサイクルを見つける
・できるだけ自分で座ってもらう
このような視点を十分に理解し配慮することが必要です。間違っても次のようなことが介助する側に続くと、トイレへ自分から行くことを伝えてもらえなくなります。
・トイレを伝えると面倒くさそうな態度や返事をされる
・返事だけして待たせる
ほかにも仕事をしているタイミングで声を掛けられることがあります。こういった場合は、「○○をやっていますから、○○分待ってくださいね」と伝えることが必要です。
こういったことを伝えずに、ただ待たせてしまうと場合によっては
・介助したくないんだろうな
・手伝うのイヤなんだろう
・面倒なんだろう
と受け止められてしまうこともあります。このように受け止められると、良い関係を築くことは大変難しくなります。トイレだけではなく、他の介助にも影響を与えることになり、お互いにとって暮らしやすい状態ではなくなっていきます。
「トイレのメカニズムを知っておきましょう」
トイレの介助をスムーズに行うためには、人がトイレで行う行為のメカニズムを理解しておくと役立ちます。
まず、排尿は血液中に溶け込んだ老廃物を体外へ排出させる、人が健康に生きていくために欠かすことのできない行為です。
一般の成人の場合、尿が150mlくらい溜まるとトイレへ行きたくなります。しかし高齢者の場合、尿が溜まる膀胱が小さくなるため、少しの量が溜まってもトイレへ行きたくなります。これが頻尿の理由です。
反対に、高齢者の中には膀胱の感覚が敏感ではなくなることで、尿がギリギリまで溜まってもトイレへ行きたく感じないことがあります。この場合はトイレが間に合わないということになります。
このような理由から、高齢者の方は一般の成人よりも排尿の回数が多くなります。
次は、便意についてです。便意は自律神経によって起こります。特に副交感神経と呼ばれる「リラックス」しているときに活性化する部分によって起こります。
このメカニズムを知っていると、便意は体がリラックスしているタイミングに起こることがわかっていますので、食後(特に朝食)に介助する気持ちと余裕を持っておくことができます。
「トイレに行きたいサインを見つける」
最初にお伝えしましたように、トイレに行きたいことを伝えるのは勇気がいります。ですから、介助する側がトイレのタイミングを見つけ、自然にトイレへ行ってもらえることを目指しましょう。
(1)介助する側ができること
日記を書くなどして、どういったタイミングでトイレへ行くのかを記録しておきます。何時くらいなのか。食後なのか。お風呂の前なのか。人それぞれにリラックスできるタイミングや、習慣化した行動がありますので、そういった内容を見つけられると自然にトイレへ誘導することができます。
(2)認知症の方のサインを見つける
認知症の方は、上手くトイレに行きたいことが伝えられないことがあります。
ですから、次のような行動が起こったとき、「あっ、トイレかな」と気づき誘導してみましょう。
・急にソワソワして落ち着かなくなった
・急に怒り出した
・ソワソワして立ち上がろうとしている
サインを見つけたときの注意点は、相手のプライドを傷つけないようにすることです。
・そろそろトイレに行きましょうか
・おしっこ大丈夫ですか
何気ない一言や強要する印象が抵抗感を生み出すこともあります。あくまでも自然に誘導することが大切です。
トイレでの介助ポイントとは
トイレでの介助ポイントは、どのような方法であっても共通していることがあります。それは次の2つです。
(1)恥ずかしさを感じさせない気遣い
(2)衛生面への気遣い
それでは次から、介助で使われることの多い、洋式トイレやポータブルトイレ、おむつでのポイントについて紹介していきます。
「洋式トイレでの介助ポイント」
トイレに入ってもらったら、お尻を便座の方へ向けて立ってもらいます。壁に手すりがあれば持ってもらうと安全です。手すりが届かない場合などは、壁に頭と肩をつけ寄りかかってもらうと安定します。
手すりを持つ手や寄りかかっている方の手と反対の手でスボンと下着を下げてもらいます。ご自身で下げられない場合は、安全な姿勢で立ってもらい介助者がやさしく声を掛けて確認しながら、後ろからスボンと下着をゆっくり下げていきます。
ひとりで用を足せる方は、ゆっくりと便器へ座ってもらいます。
座られたことが確認できれば、介助者は扉を締めてプライベート空間にして外で待ちます。外で待つときには扉を閉める前に、「終わったら教えてくださいね」と一言伝えておくと、ご本人も安心されます。
「ポータブルトイレでの介助ポイント」
ポータブルトイレはベッドの近くに置いてあります。そのためトイレへ行くよりも移動が少なくて済みます。
このようなメリットがある反面、トイレのように個室にはなっていないため、プライバシーへの気遣いが難しくなります。また部屋の中にトイレがありますので、室内の換気などにも配慮する必要が出てきます。
ベッドからポータブルトイレへの移動は、ベッド脇に置いた車いすへの移動と似た要領で行えます。
ポータブルトイレでの行為も、できるだけご自身にやってもらうことが重要です。
・スボンや下着を下げる行為
・ゆっくりと座ってもらう行為
・可能なら自分で拭く行為
ご自身で出来ることは、今後の暮らしへの自信になっていきます。
「おむつでの介助ポイント」
介助者からすると便利かもしれません。しかしご本人からすると精神的なショックが大きいこともあります。
そのため、おむつは就寝時など夜間をメインに使うようにしている施設もあるようです。時間をかければトイレへ行ける方が、おむつに頼るようになると自然な尿や便が出ないことにもつながります。
また、おむつはどうしても精神的に受け入れにくいことでもあるため、使う時間帯やタイミングに配慮することが必要です。
そして、おむつを使う場合に大事なことがあります。それは「おむつ」という言葉や物を言わない見せない工夫です。
聞くだけ、見るだけで内心「耐えられない」と感じておられる方もいらっしゃいます。介助する側としては気をつけておきたいところです。
入浴介助はリスクに注意を
高齢者の方には「お風呂が楽しみ」の人も大勢いらっしゃいます。お風呂は体がすっきりするだけではなく、気持ちをリフレッシュしてくれます。
このようにお風呂は有意義なことですが、介助でのお風呂を考えてみると、多くのリスクを含んでいることがわかります。
事故予防と準備
入浴時には転倒などのリスクもありますが、転倒以外にも思わぬ原因で事故が起こることもあります。
その代表的な原因が「ヒートショック」。浴室と脱衣室での温度差から、体に大きな負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞が起こることもあります。
少し前の情報ですが、東京都健康長寿医療センター研究所が2013年に調査した結果を見ると、2011年の1年間に約17,000人の人がヒートショックに関連した入浴中の急死があったと報告しています。このうち、約14,000人が高齢者の方だと考えられる。このような発表があります。
(URL:https://www.tmghig.jp/research/release/2013/1211.html)
入浴の事故予防と準備は、転倒への対応だけではなく、温度変化による事故予防にも対応しておくことが大切です。例えば「気温が暖かい時間にお風呂へ入ってもらう」というような方法もあります。
入浴前には健康チェック
入浴は体力を使います。安全に気持ちよく入ってもらうためにも、入浴前には健康チェックとお風呂チェックを行っておくと安心です。
■入浴前のチェック項目
(1)健康チェック
体温 | 普段と大きく変わっていないか |
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脈拍 | 定期検診の数値と大きな違いはないか |
呼吸 | 浅くもなく深すぎることもないか |
血圧 | 普段と変わりないか |
(2)お風呂チェック
お風呂と脱衣室の温度は? | 暖房をつける、お風呂の時間を変えるなどして温度変化が少なくなるようにしましょう |
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お風呂の床は安全か? | 滑りやすくなっていないか、つまずきそうな物はないか、石鹸やシャンプーの流し忘れはないか |
お湯の温度は? | 熱すぎない、ぬるすぎないか、チェックしましょう |
着替えの準備は? | スムーズに使えるよう、バスタオルや下着を準備しておきましょう |
できるだけ「自分で」がコツ
お風呂介助で意識しておきたいことは、できるだけご自身で洗ってもらうことです。
シャワーなどは介助者がゆっくりと掛けますが、体を洗う行為はご自身にやってもらうのが一番。自分では洗えない場所を介助者がお手伝いするというのが理想です。
やはりお風呂に入ると、自分で洗いたいものです。洗髪もできるなら自分で洗った方がうれしいものです。
入浴での介助ポイントとは
それでは入浴での介助ポイントを見ていきましょう。介助するときには、あらかじめ危ないポイントを理解しておくことで、万が一の場合でも事故を防ぐことができるでしょう。
入浴介助のポイント
浴槽に入ってもらうとき、最も危険なのは「浴槽をまたぐ」ときです。片足で立つ瞬間がありますから、バランスを崩すこともあります。浴槽へ足を入れ、もう片方の足を引き寄せたときに、浴槽に入っている足が滑ることもあります。まずは手すりをしっかり持ってもらうことが大切です。
浴槽につかってもらうときには、足の先からゆっくりと入ってもらいましょう。急に入ると血圧が急上昇し、体調不良を起こすこともあります。
また、浴槽につかるとウトウトしてしまう方もいらっしゃいます。体勢が崩れて溺れる危険性もありますから、油断せず注意しておきましょう。
入浴中・後の体調変化に注意
入浴中や入浴後の体調変化には注意が必要です。
■入浴中
(1)脱水症状
脱水症状は気づきにくいです。ぼうっとしているような場合は危険です。早めにあがってもらい水分補給をしてもらいましょう。
(2)顔色が変わってきた
急に赤くなってきた。急に青くなってきた。体調不良の兆しです。
(3)呼吸が乱れている
浅くなっている。荒くなっている。こういうサインを見逃してはいけません。
(4)反応が鈍い
声を掛けたのに反応がない。目の焦点が合っていない。体勢が崩れると溺れる危険性もあります。
こういった症状が出ている場合には、お風呂を中止しましょう。涼しいところで水分補給をしながら休憩してもらうことが第一です。症状が戻らない場合は、担当医に連絡することも忘れないでください。
■入浴後
(1)滑らない転ばない対応
お風呂上がりに、ふらつく方もいらっしゃいます。また、脱衣室で滑ることもありますし、バスマットが絡まって転ぶことも考えられます。浴室内と同じ注意を脱衣室でもしておきましょう。
(2)水分補給
思っている以上に水分が失われています。大丈夫とおっしゃっても、水分補給を忘れないようにしましょう。
(3)髪を乾かす場合
ドライヤーで乾かす場合、温度には注意しておきましょう。特に温風の場合、高齢者の方には熱すぎることがあります。
トイレとお風呂介助のポイントまとめ
トイレとお風呂は毎日の暮らしから無くすことはできません。そのため介助が必要になるのですが、大変デリケートな行為であるため介助の方法を間違えると、ご高齢の方との関係性までギクシャクしたものになってしまいます。
そこで今回ご紹介しました介助のポイントを参考にしていただき、健康で自然な暮らしを続けていただければ幸いです。
また、自然なトイレや健康を維持してお風呂を楽しんでいただくためには、栄養不足を予防することが必要です。食べやすく消化も良い、栄養価も計算された介護食で体調維持を目指しましょう。もし毎日の介護食でお悩みなら、介護食の宅配弁当を検討されてみてはいかがでしょうか。
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