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免疫力の評価
自分の体の中で免疫の機能が高まっているか、弱くなっているのかは、自分で実感することはありません。免疫の機能が活発に働いているからといって特別元気が湧いてくるわけでもなく、気分が爽快になることもないでしょう。あとから思い返したときに、病気にかからず、体調不良を感じなかった期間は免疫力が高まっていたかもしれませんし、頻繁に風邪をひいたり、風邪がなかなか治らなかったりしたときには、免疫力が低下していたのかもしれないと考えられます。では、客観的に免疫力を評価することはできるのでしょうか。
獲得免疫の評価
獲得免疫は一度その病気にかかるか、ワクチンを接種することで持つことができます。獲得免疫は、B細胞が産生する病原体に特異的な抗体の量を測定することで評価できます。抗体とは、体内に入った抗原(病原体などの免疫応答を引きおこす物質)を体外へ排除するために作られる免疫グロブリンというタンパク質で、血液の採取によって測定できます。
例えば風しんは、昭和37年度から昭和53年度生まれの男性に対して過去に公的に予防接種が行われていなかったため、成人になってから罹患すると重症化する可能性があったり、家族や周囲の人に感染を広げてしまう可能性があります。病院で抗体検査を受けることで、風しんに対しての獲得免疫があるかどうかを調べることができます。
このように抗体検査によって、特定の病原体についてその病気にかかったことがあったか、または受けたワクチンに効果があったかを評価することは可能ですが、日常の健康状態を維持するための免疫力全体の評価にはつながりません。
自然免疫の評価
自然免疫についての評価は、多くの病原体に対する「かかりにくさ」を示すといえます。また自然免疫の働きはさまざまな要因で変化しやすいため、よりその人の、その時の免疫力を反映しているといえます。自然免疫の評価の指標となるのがNM活性で、末梢血の採取によって比較的簡便に評価することが可能です。
NK活性に影響する因子
日常の健康維持に重要な働きを持つ自然免疫の評価として用いられるNK活性の値は、さまざまな因子によって影響を受けます。多くのホルモンがNK活性や免疫力全体に影響することはわかっていますし、NK活性は成長とともに変化して、20代でピークを迎え、その後は加齢とともに弱くなっていきます。またNK活性には個人差も大きく、その原因はまだ解明されていません。
生活習慣
「早寝早起き」の生活習慣が、NK活性を高く維持するためには良いとされています。実際に勤務時間が不規則であったり、夜間に働かなくてはならない人たちでは、NK活性が低い傾向があることがわかっています。しかし夜間勤務の人を強制的に昼型の生活にすると、一時的にNK活性はさらに低下し、その後、他の昼型の人と同等のレベルまでNK活性が上がりました。これは生活のリズムが変化したことで、NK活性が低下したことを示しています。
生活習慣の改善によってNK活性が著しく上がる効果は強くありませんが、生活のペースが変わったり、乱れていたりすることでNK活性が低下するリスクは高いといえます。時間帯にこだわるよりも、自分のペースで規則的な生活リズムを守ることがNK活性を低下させないために重要であり、生活リズムが乱れたときには、NK活性が低下している可能性があると考えて、より一層体調管理に気をつけることが必要といえます。
運動
運動は健康の維持・増進のためには重要です。運動によって心肺機能が増強し、筋肉量が増え、生活習慣病の予防にもつながります。しかし、極端に激しい運動をする人たちに疾病罹患率が高いこともわかっています。運動中は運動強度に比例してNK活性やNK細胞の数が上がりますが、運動終了直後から急激に低下し、さらにその低下の程度は運動の強さに比例します。
NK活性の低下した状態は運動時間の4倍程度の時間継続することが、複数の実験で明らかとなっています。このため毎日激しいトレーニングをしている運動選手は、持続的にNK活性の低い状態にあるため、疾病罹患率が高くなると考えられています。では免疫力を上げるために有効な運動とはどのような運動かというと、「話しながらできる程度の運動(心拍数100前後の運動)を日常的に継続すること」が良いとされています。
健康の維持・増進を目的に、免疫力を下げないように(病気にかかりにくくするように)するためには、つらい運動よりも、気持ちがいいと感じられる程度の運動を習慣的に継続することが良いとされます。国立がんセンターによるがん予防の生活習慣の調査でも、激しい運動は推奨されていません。適度な運動によるNK活性の維持は、がんの予防にも有効である可能性も推測されています。
笑うこと
よく「笑うと免疫力が上がる」ということが言われます。これについてはいろいろな実験が行われていますが、その理由や効果はまだはっきりと解明されていません。実際に面白くなくても、大笑いする真似をすることでNK活性が上がるともいわれますが、これは大笑い自体に腹筋を動かすなどある程度の運動効果があり、大きな声を出すことによるストレスの発散も伴って、NK活性が上がるのではないかと考えられています。笑う真似をすることでNK活性が上がるのは、適度な運動効果ということもできるようです。
公益財団法人長寿科学振興財団が運営するウェブサイト、健康長寿ネットです。笑いの効果について、実験結果とともに説明されています。ご参照ください。
https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/warai-genki/warai-menekikinou.html
ストレス
ストレスはNK活性を低下させることがわかっています。神経を使う細かい仕事や強い緊張状態、家族など親しい人との別れや死別、職場や学校での人間関係の悪化などはNK活性を低下させます。しかしストレスが全くない環境でもNK活性が上がるわけではなく、緊張感のある仕事を終えた後、充実感を感じているときにはNK活性は高まっています。つまり、適度なストレスではNK活性は高まり、過度のストレスを感じた後にはリバウンド現象がおこり、NK活性は急激に低下するといえます。
適度なストレスに対応し、そのあとにはリラックスできる時間を持つような生活であれば、NK活性の低下を防ぐことができると考えられます。
季節・時間
NK活性は季節によって変動し、夏と冬には下がることがわかっています。冬の気温低下と空気の乾燥はウイルスによって好条件であり、さらにNK活性が低下していることで、風邪やインフルエンザが流行しやすい環境にあるといえます。また近年、夏の平均気温は上昇しており、エアコンの使用による室内と屋外の気温差や、台風や集中豪雨などの急激な気圧変化は、人の体には大きなストレスとなることがあります。これらの環境による夏のNK活性の低下は以前より大きくなっていると考えられ、夏の体調不良の一因とも考えられます。
一日の中でもNK活性に変動があることは、古くから知られています。動物のNK活性は活動期に高いことがわかっており、人では朝から昼過ぎにかけて高く、夕方から低下し始め、夜が一日の中で最も低くなります。これは主に自律神経の働きに関係していると考えられています。
自律神経
自律神経は、内臓や血管など自分の意志とは無関係に働いている器官を制御しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、相互にバランスをとりながら働いています。
動物の活動期(人では主に日中)は、末梢血中にNK細胞の数が増え、NK活性も高まります。一方リンパ節は、獲得免疫が抗原提示を受けて活性化される場所であるため、リンパ節内にT細胞やB細胞が集まり、血液やリンパ液の抹消では減少しています。交感神経が優位な時間帯=活発に活動する時間帯(人では日中)は、ケガをしたり病原体が体内に侵入してくる機会が増えるため、自然免疫を担う細胞を活性化して最前線といえる末梢組織に集合させ獲得免疫を担う細胞をリンパ節内に待機させておくことで、効率よく免疫反応をおこすための準備を整えているといえます。
免疫力を上げることを考えると、自律神経の働きも交感神経と副交感神経のバランスが大切で、過度のストレス下(交感神経が過剰に優位となっている状態)にある場合、そのあとにはNK活性の急激な低下が予想されます。現代社会では過度のストレスを継続的に抱えている人も多く、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、免疫力の低下につながる可能性もあります。
食事
免疫を担当する細胞も栄養を必要とするため、バランスの良い食事を十分に摂取することは免疫力を維持するためには必要不可欠といえます。さらに食品に含まれるいろいろな成分が、NK活性に影響を及ぼすこともわかっています。NK活性に影響を与えるといわれる食品成分の中には直接影響を及ぼすものだけではなく、体温を上昇させたり、腸内環境を整えるなど、間接的に作用するものもあります。例えばきのこ類に含まれるβ-グルカンという成分は、NK活性を上げることがわかっています。古くから健康に良い食品とされ、世界中でさまざまな民間療法としても利用されています。
またヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品も、世界各国で古くから健康に良い食品として食べられてきました。現在、乳酸菌などの健康に効果的なバクテリアはプロバイオティクスと呼ばれ、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を改善することで病気になりにくい体を作る、予防医学に応用されています。実際に乳酸菌の産生する代謝物の中には、NK活性を増強するものがあることがわかっています。
【NK活性に影響を与えるといわれる食品とその成分】
有効成分とその物質 | 多く含まれる食品 | |
プロバイオティクス | リポ多糖とその分泌物や代謝物質 | ヨーグルトや納豆、味噌、キムチなどの発酵食品 |
多糖類 | β-グルカン | きのこ類 |
キチン | ||
ポリフェノール | ゲニステイン | 豆類 |
ケルセチン | 玉ねぎ | |
エピガロカテキン | 緑茶 | |
レスベラトロール | ブドウ | |
クルクミン | ウコン | |
カロテノイド | アスタキサンチン | エビ・カニ |
β-カロテン | 緑黄色野菜 | |
ビタミン | ビタミンA | 緑黄色野菜、レバーなど |
ビタミンB12 | シジミ、レバー、カキなど | |
ビタミンC | 果物、野菜 | |
ビタミンD | 鮭、乾燥きくらげなど | |
ビタミンE | ナッツ類 | |
ミネラル | 亜鉛 | カキ、レバーなど |
マンガン | 干しエビ、シジミ、松の実など | |
アルカロイド | カプサイシン | 唐辛子 |
脂肪酸 | EPA(エイコサペンタエン酸) | 青魚 |
DHA(ドコサヘキサエン酸) |
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乳酸菌と腸管免疫
腸には多くの免疫細胞が存在し、腸内細菌との相互作用によって免疫活性は常に制御されています。正常に保たれた免疫系は、IgA抗体を介して腸内細菌の構成やバランスを適正に維持し、適正に管理された腸内細菌業は免疫系を正常に保ちます。
腸管免疫とは
腸には食べ物と一緒に入ってくる病原体などから体を守るために、腸管免疫という仕組みがあります。小腸には絨毛がびっしりと並んでいますが、ところどころに絨毛のない丘状の場所があり、パイエル板と呼ばれるリンパ小節が集合した腸管特有の免疫組織があります。
パイエル板を覆う腸管上皮にあるM細胞から病原体などを捕え、捕えた病原体はM細胞からマクロファージや樹状細胞に渡されて取り込まれます。病原体の情報がNK細胞やT細胞に伝えられ、活性化します。
乳酸菌がNK細胞を活性化する
乳酸菌の産生する代謝物の中には、直接的にNK活性を増強するものがあることがわかっています。腸内に存在する菌の成分や代謝物は小腸に存在するM細胞を介して体内にとり込まれ、リンパ節内で免疫系を刺激しています。
乳酸菌はこの腸管免疫のシステムを利用して腸管壁のリンパ節に存在するマクロファージや樹状細胞に作用してNK細胞を活性化し、樹状細胞は自然免疫と獲得免疫の連携をつかさどる細胞であることから、乳酸菌が獲得免疫を活性化する可能性もあると考えられています。
免疫力に関するまとめ
「免疫力を高める」とは、自然免疫の働きを高めて病気にかかりにくく、かかっても治りやすい状態を作ることだといえます。そのためには、ストレスの少ない生活習慣とバランスの良い食事がNK活性を上げ、免疫力全体を高めることは科学的に証明されつつあります。健康の維持・増進のために、できることから始めてみましょう。