こんにちは!配食のふれ愛のコラム担当です!
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梅雨間近ともなると、私たちの暮らす日本はとても湿度が高く過ごしにくくなりますね。
じっとりとして、かいた汗も乾燥することがなく、いつまでもべたべたと不快な状態が続きます。湿度の高さは不快なだけではなく、私たちの身体の水分代謝をも阻害し、むくみを呼ぶこともあります。
今回は、なぜむくむのか、また、むくみ解消を助けてくれる、春に取りたい食材とそのメニューについてご紹介します。
季節の養生:むくみについて
むくみとは?
よく、お酒を飲みすぎた日の翌朝、顔がむくんでいた、立ち仕事の日は夕方になると足がパンパンにむくんでしまい、靴がきつくなってしまう、と言われますね。これらが若い世代にとっては代表的なむくみの症状となりますが、高齢者の場合は全身、また、持病により体の一部がむくんだり、寝たきりになると、下になることが多い背中や腰にかけてむくんだりすることがあります。
急激な体重増加や、下着の後が強く残ってなかなか消えない場合、下肢なら脛のあたりを圧迫してみてあとが残る場合(残らないものもあります。)は、むくみが疑われます。
下の表は、平成28年の国民生活基礎調査結果より抜粋した、「足のむくみやだるさ」について、調査対象1000人当たりの有訴者数の調査です。こちらでは足のむくみに限定しているように見受けられますが、参考までに掲載します。
年齢が上がると共に、むくみを訴える割合が増えていますね。
データ引用:厚生労働省平成28年国民生活基礎調査の概況Ⅲ世帯員の健康状態より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/06.pdf
むくみが起こる原因
運動不足
同居なさっている高齢の方は、筋力の衰えから運動をすることが億劫になり、椅子に腰かけたままで一日を過ごしていることはありませんか?
寝たきりの方の場合、寝返りを打ったり、足の曲げ伸ばしなどをしたりせずに過ごしていることにより、血行不良となり、むくむことがあります。
ふくらはぎは第二の心臓と言われています。ふくらはぎを動かすことで私たちの血液、リンパ液は全身をくまなく巡ることができるということです。血液の循環をよくすることはむくみ解消の一助にもなりますので、軽い運動や、室内を時々歩いたり、ストレッチをしたりするとよいですね。
病気が隠れている場合もある
このように、運動不足が原因の場合もありますが、むくみの裏に大きな病気が隠れている場合もあります。
まず最初に疑われるのは腎臓に関する病気で、腎不全、ネフローゼ症候群、また、糖尿病や甲状腺機能低下症、心臓病、肝硬変など、さらには持病に関する薬の副作用で発生する場合もあります。
そのほか、リンパ浮腫や血栓、やけどや細菌感染など、多くの原因が考えられます。
特に高齢になると、暖房器具などで容易に低温やけどを起こすことがあります。知らぬ間にやけどをして、それがもとでむくみなどが発生している場合がありますので、注意して見守り、気になる症状が見受けられる場合は早めにかかりつけ医に相談することをおすすめします。
気象が要因となることもある
医師の診断を仰いでも原因となる大きな疾患が見つからない場合、湿度のせいでむくみが出ていることがあります。
意外かもしれませんが、私たちの身体は環境の影響をとても強くうけています。私たちは、通常呼吸や発汗により、一日に約0.7リットルの水分を失っています。ところが、私たちを取り巻く空気中の湿度が梅雨時のように高い場合、呼吸や発汗により失われるはずの水分は体から出ていくことができなくなります。
さらには気温、湿度からくる不快さから体を動かすことが億劫になり、さらに代謝が悪くなり、むくみを呼ぶことになります。
食事のかたより
塩分の多い食べ物を好んで食べる方は、体内の塩分濃度を調整するために自然と水分を欲するようになり、むくみが出てしまうことがあります。
また、アルコールの過度な摂取や甘いものも摂りすぎでむくむこともあります。
食材にはさまざまな効能があり、バランスよく食べると体はとても健康になりますが、偏った食べ方をしていると、やがてはむくみが発生し、さまざまな不調を導いてしまうことでしょう。
むくみが引き起こす症状
湿度が高くなると呼吸が重苦しかったり、どんよりとした頭痛がおこったりして動くのが億劫になり、さらにむくむという悪循環から、いろいろな病気を引き起こしてしまいます。
むくみが引き起こす症状には、ほかに回転性目眩(メニエール)、胸のつかえ、眠気や足腰の主だるさ、尿量の減少、リウマチ、リンパ浮腫など、さまざまな病気があります。
ただのむくみ、と思わず、早め早めの対処が必要ですね。
旬(春から梅雨)を迎える食材とメニュー
アスパラガスの胡麻和え
アスパラガスには、穏やかに体の熱を取り、むくみを解消する働きがあります。さらに、アスパラギン酸という疲労回復にとても効果的な必須アミノ酸の一種、葉酸、食物繊維にミネラルと、私たちの体にとても良い成分が多くふくまれています。
ミネラルや上質の植物性油脂を含むゴマを使った、香り高い胡麻和えです。
【材料】
アスパラガス | 1束 |
ゴマペースト | 大さじ1 |
しょうゆ | 小さじ1 |
みりん | 小さじ1 |
【作り方】
1. アスパラガスは根本の固い部分を切り落とし、はかまを取る。太くて筋張っていたら下半分の皮をピーラーなどで剥き、ななめに薄切りにする。
2. 塩(分量外)を加えた熱湯で(1)をさっと茹でる。
3. ゴマペーストにみりん、しょうゆを少しずつ加え、溶きのばす。
(ゴマペーストは油分が多いので、混ぜはじめは締まって硬く感じます。少しずつ加えては乳化させる感じで全体を混ぜ続けていくと柔らかくなっていきます。)
4. (2)に(3)を加え、よく和える。
※咀嚼・嚥下に心配がある場合※
アスパラガスは細かく切るかペーストにして、(3)のたれを天盛りにする。
ごまは殻のままだと消化、吸収をすることができません。また、咀嚼、嚥下が難しい方の場合、殻がのどについてしまうと激しくむせることがあります。
なめらかなペースト状のすりごまをおすすめします。
白ゴマなら便秘予防や皮膚の乾燥予防、黒ゴマは老化防止、白髪防止、足腰の衰えを予防する効果が期待できます。どちらもゴマリグナンという抗酸化物質を含んでおり、古くよりとても体に良い食品として知られていますね。少量ずつで構いませんので、いろいろな料理で取り続けるとよいでしょう。
黒豆と昆布の煮物
黒豆や昆布などの「黒い食べ物」は、薬膳では「腎」を健やかに保つ作用があるといわれています。この「腎」とは、単に腎臓を指すだけでなく、経絡でつながる耳や膀胱、内分泌系から脳、骨…と、まさに生命力そのものを司る気管とされています。
「腎」を補うだけでなく、利尿作用があり、むくみ解消に効果的なこれらの食材を使い、箸休めにも、ごはんの友にもなる、常備菜をご紹介します。同居のご家族のお弁当が必要な場合にも、おすすめです。
【材料】
昆布 10cm角程度 | 1枚 |
黒豆(煮豆) (市販の炊いたもので良いです。) | 100g |
水 | 100cc |
しょうゆ | 大さじ2 |
みりん | 大さじ2 |
酢 | 小さじ2 |
酒 | 大さじ2 |
【作り方】
1. 昆布は水で戻し、3cm角に切る。
2. 鍋にしょうゆ、みりん、酢、酒を入れ、(1)の昆布を加え、柔らかくなるまで煮る。
3. 昆布が柔らかくなり、水分が減ってきたら黒豆を加え、煮絡める。
昆布は出汁を取ったものの残りで十分です。この常備菜用に水で戻す場合は、戻した水は次にご紹介するスープや味噌汁などにぜひ活用してください。
また、炊く時に加える酢は酸味を加えるためではなく、昆布をやわらかく仕上げるためのものです。酸味は加熱することで飛んでしまいますので、忘れずに加えてくださいね。
※咀嚼・嚥下に心配がある場合※
昆布は溶ける手前までしっかりと加熱します。その際、水分が蒸発し焦げやすくなりますので、適宜水か酒を加えてください。
黒豆も、水分がしっかりと残っている時に加え、共にやわらかくなるまで煮ます。
盛りつける際、必要に応じて細かくきざむか、潰します。黒豆の皮が口に残る場合がありますので、皮が固く気になる場合は取り除いてください。
大豆でも作ることができます。大豆の場合は、骨粗鬆症予防、疲労回復、便秘予防に効果があると言われています。豆類は全般的に体力を養い、胃腸の働きを補い、便秘解消、老化予防と、高齢者には適した食材です。是非お好みの豆で試してください。
鯛とハトムギのすまし汁
鯛にはわずかながら体を温める作用があり、しかも利水効果もあります。また、体力回復や美肌にも効果があります。
一方、ハトムギには利水効果があり、神経痛やリウマチを鎮め、肌の荒れを抑える効果があります。若干体を冷やしてしまうので、温める効果のある鯛を合わせ、肌寒さを感じる日も残る春から梅雨時に合う、あたたかいすまし汁に仕上げました。
【材料】 2人分
鯛 | 一切れ |
はとむぎ | 大さじ2 |
出汁 | 350cc |
塩 | 適宜 |
木の芽など | 適宜 |
【作り方】
1. はとむぎはさっと洗い、水に30分以上つけておく。
2. 鯛は骨と鱗が残っていないか確認し、一口大に切り、さっと熱湯をまわしかけておく。
3. 鍋に出汁と(1)のはとむぎを入れ火にかける。
4. はとむぎが柔らかくなれば(2)の鯛を加え、火を通す。
5. 塩で味を整え、器に盛り、木の芽をあしらう。
※咀嚼・嚥下に心配がある場合※
はとむぎはしっかりと柔らかく茹で、鯛を加えます。火が通ったら鯛をいったん取り出し、はとむきを吸い地とともにミキサーにかけ、鯛と共に器に盛ります。
木の芽を添え、香りを移したら取り出します。
吸い口には木の芽をあしらいました。あまり遠出がままならないであろう高齢の方にも、目で季節を感じ、香りを楽しんでいただくことができます。木の芽の爽やかな香りには、食欲増進の効果、腹の冷えを取る作用があります。また、魚の生臭さをも消してくれる日本を代表するハーブの一つです。
はとむぎは大きなスーパーの穀物コーナーやインターネットにて購入できます。夏にはあせも解消にも役立ちますので、ぜひ常備しておいてくださいね。
季節の養生・介護食レシピ:まとめ
むくみについて、いかがだったでしょうか?生活に変化がないにもかかわらず、急にむくみがでた場合は、まずは医師に相談し、病気のサインかどうかを確認しましょう。
その上で、今日ご紹介したような食材を使い、少しでも気分、体調よく過ごせるようにメニューを選んでみてください。
なお、きゅうりや冬瓜のようなうり科のカリウムの多い食材は、利尿作用がありむくみ解消に向いていますが、これらは同時に体をしっかりと冷やす作用を持っています。夏になるととても良いのですが、意外に冷える日もある春から梅雨時は、代謝の落ちている高齢者は、出来れば避けた方が無難です。
残念ながら、薬から得るほどの劇的な効果を食材から得ることは難しいですが、日々の積み重ねで未病予防ができます。どうぞ快適な日々をお過ごしくださいね。