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平成30年度に発生した食中毒は1330件、その中で3名が命を落としています。この発生件数はあくまでも保健所に報告があった件数であり、家庭で起きた症状の軽微なものについては数えられていません。実際はこの数より多くの食中毒が起きているだろうといわれています。
高齢者が食中毒になった場合、重症化する恐れがあります。高齢者を食中毒から守るためにできることを考えてみましょう。
目次
食中毒の原因
食中毒には細菌やウイルスによって感染する食中毒、寄生虫による食中毒、自然毒による食中毒など、その原因によっていくつかに分けられます。
細菌性食中毒
細菌性食中毒には感染型と毒素型があります。感染型は病原性を持つ細菌が体内に入って増殖することで起こる食中毒です。毒素型は細菌が出す毒素によって起こる食中毒です。
ウイルス性食中毒
ウイルス性食中毒はウイルスが付着している食品を食べたり、人の手や物を介しても感染します。なかでもノロウイルスは感染力が非常に強いため注意が必要です。
寄生虫食中毒
獣肉や魚、生水などに寄生している寄生虫によって起こる症状を寄生虫食中毒といいます。サバやアジ、サンマやカツオ、イワシなどの魚の内臓に寄生するアニサキス幼虫は、一般的にも知られています。
原因となる食品を食べてから数時間~数十時間後に胃や腸に激しい痛みを生じます。速やかに医療機関を受診しましょう。
自然毒食中毒
動植物が本来持っている有毒成分によって起こる食中毒です。植物性食中毒と動物性食中毒があります。植物性食中毒ではきのこ類や山菜類、ジャガイモの芽などが一般的に知られています。動物性食中毒はフグ毒が代表的です。
食中毒の種類
病原性大腸菌やノロウイルスなどはニュースでも耳にすることがありますが、その他にも食中毒の原因となるものはいろいろあります。
腸炎ビブリオ
海中に生息する細菌で海水程度の塩分を好みます。主に魚介類に付着していて、室温で増殖します。原因となる食品を食べた後、12時間程度で激しい腹痛、水様性の下痢、おう吐、発熱などの症状が起きます。
魚介類は低温(4℃以下)で保管し、調理するときには真水でよく洗いましょう。
サルモネラ
動物の腸管内や河川など自然界に広く生息している細菌です。食肉だけではなく、犬や猫などの腸管内にもいる可能性があります。鶏卵やその加工品、食肉(特に内臓類)の生食などが原因となることがあり、菌が体内に入ってから半日~2日後、腹痛、下痢、発熱、おう吐などの症状が起きます。
卵の生食は期限内に食べるようにしましょう。加熱するときも、卵は調理する直前に割るようにしましょう。
腸管出血性大腸菌
牛などの腸内にいる病原性大腸菌の一種で、O157やO111などが代表的です。ベロ毒素という毒性の強い毒素によって、激しい腹痛や水様便、出血を伴う下痢などの強い症状がでます。
肉の生食や加熱不十分が原因となることが多く、原因となる食品を食べてから発症まで約3~8日と比較的長い時間がかかります。小さな子供や高齢者では重症化しやすく命に関わることがあります。
カンピロバクター
細菌性の食中毒の中では発生件数が多い食中毒です。動物が保菌している細菌で、食肉だけではなく犬や猫などの腸管内にもいる可能性があります。この細菌が付着した肉の生食や加熱不十分によって食中毒を発症します。
原因となる食品を食べてから発症まで約2~3日と比較的長い時間がかかります。腹痛、下痢、発熱、頭痛、おう吐などの症状が起きます。加熱には弱いので、しっかりと加熱調理することで予防できます。
ウエルシュ菌
自然界に広く存在します。土壌や動物の腸管内、人の腸内にも存在する常在菌のひとつです。嫌気性細菌で酸素のないところで増殖します。
下痢と腹痛が主な症状で、原因となる食品を食べてから6~18時間で発症します。大量調理の際の麺のつけ汁や、カレーなどの煮込み料理が原因となることが多く、調理後の温度管理が重要です。
黄色ブドウ球菌
自然界に広く存在し、人の皮膚やのど、鼻などにもいる常在菌のひとつです。調理をする人の手に傷があったり傷口が化膿しているときは、食品を汚染する可能性があるため直接食品に触れないようにしましょう。
ブドウ球菌は食品中で菌が増殖し、毒素が産生されることで食中毒を引きおこします。ブドウ球菌は酸性・アルカリ性どちらの環境でも増殖でき、毒素は熱に強く100℃ 3分の加熱にも耐えます。汚染された食品が体内に入ってから3時間ほどで急な吐き気や嘔吐、下痢などの症状が起きます。ブドウ球菌は身近に存在する細菌なので注意が必要です。
セレウス菌
土の中や水の中など、自然界には広く存在する細菌です。土が付きやすい穀類やその加工品(麺など)が原因となることがあります。
おう吐型と下痢型の症状があり、おう吐型は原因となる食品を食べてから数時間のうちに発症します。下痢型は原因となる食品を食べてから8~16時間後に発症します。
ボツリヌス菌
土の中や水の中など、自然界には広く存在する細菌です。酸素のないところで増殖し、毒性の強い神経毒を作ることが特徴です。原因となる食品を食べてから8~36時間で発症し、おう吐の他に筋力低下や便秘、神経症状など特有な症状があります。
缶詰やびん詰、真空パック食品などが原因となることがあるため、容器や包装に異常があった場合は食べるのをやめましょう。
ノロウイルス
手指や食品を介して体内に入り、人の小腸内で増殖します。おう吐、下痢、腹痛などの症状が起きます。非常に感染力が強く、ウイルスが数個体内に入っただけでも発症します。
ノロウイルスに汚染された食品を食べることだけではなく、ノロウイルスに感染している人の手指や便、おう吐物からの二次感染にも注意が必要です。原因となる食品を食べてから1~2日で下痢、おう吐、発熱などの症状が起きます。
食中毒予防
食中毒は家庭内でも発生しています。症状が軽かったり家族の全員に症状が出ない場合、食中毒とわからないまま軽快していることもあり、実際は報告件数よりも多く発生していると推測されています。
食中毒の原因となる細菌やウイルスは目に見えませんが、付着していることを前提と考えましょう。食材だけではなく、調理する人の手や食器、調理器具も同じです。神経質になる必要はありませんが、予防のポイントをしっかり押さえておきましょう。
食中毒予防の3原則
食中毒予防の3原則は食中毒の原因となるものを「つけない・増やさない・やっつける」といわれます。
・「つけない」
食中毒の原因となる細菌やウイルスを食品につけないようにしましょう。手指にはさまざまな細菌やウイルスが付着しています。調理を始める前には必ず手を洗いましょう。手に傷がある場合、食品に直接触れる作業はディスポーザブル手袋(使い捨ての手袋)を使用することをおすすめします。
まな板や包丁は使用ごとに洗い、肉や魚などと野菜類はまな板を分けることが理想です。まな板の裏表を使い分けるのも方法のひとつです。
・「増やさない」
細菌の多くは65℃以上、または10℃以下で増殖が抑制されます。食品についた菌を増やさないためには冷蔵庫や冷凍庫での低温で保管することと、しっかり加熱して、調理後はすぐに食べることが大切です。細菌は比較的時間をかけて増殖します。冷蔵庫を過信せず、なるべく早く食べるようにしましょう。
・「やっつける」
ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。しっかり加熱調理をすることが食中毒の予防には有効といえます。食材の中心部の温度が75℃に達してから1分以上加熱することで、ほとんどの食中毒の原因となる細菌やウイルスは死滅しますが、ノロウイルスに対しては中心部の温度が85℃以上で90秒以上の加熱が必要です。
まな板や包丁などの調理器具も調理が終わったらよく洗い、煮沸消毒ができれば安心です。煮沸消毒ができない場合は、塩素系の漂白剤も殺菌効果があります。また使用後にはよく乾燥させておくことも大切です。
ノロウイルス対策には「持ち込まない・広げない」をプラス
感染力の高いノロウイルスについては、数個のウイルスが体内に入っただけでも食中毒の症状が出ます。人の体内から排出された後も長時間生存していて、乾燥するとフワフワと舞い上がって広がっていきます。
自分では明らかな下痢やおう吐などの症状がない場合(不顕性感染)でも、体内で増殖したウイルスは便中に排出されているため、他者へ感染する可能性があります。おう吐や下痢の症状がある人は、調理作業をしないことが大切です。
全ての基本は手洗い
食中毒を予防するために、もっとも大切で基本的なことが「手洗い」です。しかし、いつもの洗い方では十分に汚れが落ちていません。正しい手洗いの方法を身に付けましょう。
ヤシノミ洗剤で知られるサラヤ株式会社のサイトです。手洗いについて詳しく紹介されています。ぜひご参考ください。
https://family.saraya.com/tearai/index.html
高齢者が注意したいこと
高齢者は食中毒に感染した場合、重症化する可能性が高く命に関わることもあります。食中毒を予防するためには、日頃からの気遣いがポイントです。
買い物の順番
肉や魚、冷凍食品などは、常温で持ち歩く時間を少しでも短くするために、最後に買うようにしましょう。肉や魚はビニール袋に入れ、汁がもれて他の食品につくことを防ぎます。特に夏季の気温が高くなる時期には保冷バッグを使い、氷や保冷剤を入れて、家に着くまでに食品の温度が上がらない工夫をしましょう。
冷蔵庫の活用
冷蔵庫内の温度は10℃以下、冷凍庫内の温度は-15℃以下に保つのが適正です。買い物から帰ったら手を洗い、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に食品を片付けます。そのときに賞味期限を確認し、賞味期限の近いものや古いものが手前にくるように入れます。手前にある食品から使用するようにすれば、食べ忘れることが防げます。
冷蔵庫や冷凍庫は中に物が多いと、冷気が全体にいきわたらないことがあります。詰めすぎにも注意しましょう。
「もったいない」にならないように
料理は食べるときに食べる分だけを調理するようにしましょう。加熱調理後は室温に放置せず、早めに食べます。加熱調理後すぐ食べることは、食中毒予防にはとても大切なポイントです。
残ってしまった料理の保管は、清潔な密封容器に入れて粗熱がとれてから冷蔵庫で保管し、できるだけ早く食べきるようにしましょう。温め直すときにも中心部までしっかり加熱します。カレーやシチュー、汁物などは鍋に移して、よく混ぜながら温めます。混ぜることで空気が入り、嫌気性の細菌を抑制することができます。
購入したお惣菜や配食弁当
スーパーやコンビニのお惣菜は表示を確認し、賞味期限内に食べきるようにしましょう。そのときに食べる分だけを購入することが、無駄がなく安全といえます。配食のお弁当などは徹底した衛生管理の下で調理されていますが、適切な温度で保管し、賞味期限内に食べることを前提として作られています。
冷凍のお弁当の場合は、指示通りの方法で解凍して食べましょう。食べきれなかった分を再冷凍することは、食中毒の危険が高まるのでやめましょう。
認知症のある場合
認知症のある高齢者では、冷蔵庫の中の食品管理が難しいことがあります。周囲の人が定期的に食品をチェックし、食品管理の援助をするようにしましょう。
おう吐や下痢の症状がある場合は、その処理が適切でないと重症化や周囲の人への感染リスクが高まります。日頃から周囲の人が体調についても配慮をするようにしましょう。
食中毒を疑うとき
食中毒かなと思った時には、重症化しないための注意と、周囲の人にうつらないように配慮が必要です。
おう吐・下痢はむやみに止めない
食中毒の代表的な症状は吐き気やおう吐と下痢です。おう吐や下痢の症状は、原因となる物質を体外に排出するために必要な症状なので、むやみに市販薬などで症状を抑えると、かえって長引くことがあります。おう吐や下痢の症状で失われた水分は補給しないと重症化につながることがあります。水分摂取が困難な状態の場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
家族がうつらないために
原因が食べた物にある場合は、同じものを食べた人は同じような症状を起こすことが予想されます。個人の症状の強さに関わらず、一緒に受診するようにしましょう。
またノロウイルスに感染した場合は、下痢やおう吐などの症状が消失してから数日間は、感染していない人とは家庭内でも生活スペースを分ける(隔離する)ようにしましょう。
ノロウイルスは85℃以上の加熱か、塩素による消毒でしか不活化しません。感染者の洗濯物は別に洗い、できれば塩素系の漂白剤を加えて洗濯をしましょう。トイレは使用ごとに塩素を含むトイレ用洗剤などで掃除をしておくようにします。トイレ掃除をするときはマスクとディスポーザブル手袋を着用しましょう。
まとめ
湿度の高くなる梅雨時期から夏季が食中毒の好発時期といわれてきましたが、近年は一年を通して食中毒が発生しています。日頃から体力や免疫力を高め、正しい手洗いの習慣を身につけて実行しましょう。