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日本人なら誰もが知っているこんにゃく。プルプルとした食感も楽しく、おでんにしたりかみなりこんにゃくにしたり、また、市販のゼリー状のお菓子など、さまざまな姿で私たちの食生活を豊かなものにしてくれていますね。今回は、そんなこんにゃくの歴史や最近話題になっている粉末こんにゃくやこんにゃくペーストなどについて、ご紹介します。
目次
食物繊維豊富なこんにゃくの歴史
こんにゃくと日本人との出会い
プルプルしたこんにゃく、まるで煮凝りやゼリーのような印象ですが、何から作られているかはご存じでしょうか?
こんにゃくはサトイモ科コンニャクイモという植物の地下茎(芋)を利用して作られています。原産地はインドネシア半島で、東南アジアからサトイモなどと共に、縄文時代に島伝いに伝わってきたとする説と、中国を経由して仏教とともに伝わってきたとする説の2種類があります。
どちらの説が正しいのか結論はまだ出ていないということですが、中国では紀元前より栽培、食用に、日本では平安時代より食用として利用されていたとのことです。
当時はとても高価な食材として貴族だけが口にすることができたようで、平安中期に編纂された「拾遺和歌集」には、「野を見れば 春めきにけり 青葛(あおかつら) こにやくままし わかな摘むべく」という歌が詠まれています。
時を経て江戸時代になり、傷みやすい生のこんにゃく芋を乾燥・粉砕して保存する技術が考案されることにより、広く一般に普及するようになりました。
生のこんにゃく芋は食用にはできない
このように手軽に食べることができるようになったこんにゃくですが、一部の産地を除いて、こんにゃく芋が野菜売り場の店頭に並んでいる姿を見ることは皆無に近いのではないでしょうか?
なぜなら、サトイモの仲間、こんにゃくにはシュウ酸カルシウムという成分が含まれていて、こんにゃくに加工しないかぎり、生食できないからなのです。この結晶は針のような形をしており、こんにゃく芋だけでなく、量の多少はありますが、サトイモ、長芋、ほうれん草など多くの植物に含まれ、取りすぎると尿路結石の原因の一つにもなります。
シュウ酸カルシウムは、生芋こんにゃくの場合は茹でる時、製粉こんにゃくの場合は、こんにゃく粉を製造する時に取り除かれているため、心配はないとされています。生では食べることができないこんにゃく芋を、すりおろして凝固剤(水酸化カルシウムなど)で固め、さらに茹でることで体によい食品に作り変えてしまうとは、私たちの祖先の知恵と努力には驚かされますね。
日本各地にある様々なこんにゃく
このようにして全国に普及していったこんにゃくは、かの地でさまざまな形や味に進化していきました。
・刺身こんにゃく 水分が多く、そのまま薄切りにして食べる。青のりやゴマ、ゆず皮などを入れてアレンジしたものが多い。
・糸こんにゃく 糊状のこんにゃくを細く絞りだし、糸状にしたもの。
・玉こんにゃく 糊状のこんにゃくを小さく団子状に丸めたもの。
・赤こんにゃく 滋賀県の名産品で、酸化鉄を加えて作り、赤い色をしている。
・凍みこんにゃく こんにゃくを冬の寒さにあて、冷凍、解凍を繰り返し、スポンジ状にしたもの。
その他 こんにゃくを米状にしたもの、フルーツの味や香りをプラスしたゼリー風のもの、プリンやヨーグルト、ジュースなどに加工したものなどがあり、こんにゃく製品は、和洋中を問わずさまざまなものがありますね。
こんにゃくに含まれている栄養素
こんにゃくは低カロリー、とは、よく知られているところです。下の表を見てわかる通り、そのほとんどは水分で、カロリーはごくわずかしかありませんね。酸化鉄を加えて作る赤こんにゃくには多くの鉄分が含まれているのですが、そのほかには不溶性の食物繊維が主な成分です。
とはいえ、しっかりと噛んで食べることで満足感も得られ、ダイエットが必要な方が適度に取る分にはとてもよいですね。また、不溶性食物繊維が腸の蠕動運動を活発にし、便秘の解消にも役立つ、体によい食品であることに違いはありません。
エネルギー(kcal) | 水分(g) | カリウム(mg) | カルシウム(mg) | 鉄(mg) | |
板こんにゃく(製粉こんやく) | 5 | 97.3 | 33 | 43 | 0.4 |
板こんにゃく(生いもこんにゃく) | 7 | 96.2 | 44 | 68 | 0.6 |
赤こんにゃく | 5 | 97.1 | 48 | 46 | 78.5 |
ナトリウム(mg) | 亜鉛(mg) | 水溶性食物繊維(g) | 不溶性食物繊維(g) | 食物繊維総量(g) | |
板こんにゃく(製粉こんやく) | 10 | 0.1 | 0.1 | 2.1 | 2.2 |
板こんにゃく(生いもこんにゃく) | 2 | 0.2 | Tr | 3.0 | 3.0 |
赤こんにゃく | 11 | 0.1 | 0.1 | 2.3 | 2.3 |
日本食品標準成分表2015年版(七訂)より
水溶性?不溶性?こんにゃくに含まれる食物繊維の不思議
上図でわかるように、こんにゃくには、不溶性の食物繊維が多く含まれています。
よく、こんにゃく由来の成分として水溶性の食物繊維、グルコマンナンという名前を耳にされると思いますが、こんにゃくの栄養成分表示を見ると、不溶性食物繊維しか含まれていないことがわかります。不思議ですね。
これは、こんにゃくの製造工程に秘密があります。こんにゃくを製造するときには、水分を吸ってゲル化させたグルコマンナン(水溶性食物繊維)に、水酸化カルシウム(貝殻焼成カルシウム)などの凝固剤を混ぜ、練り上げて作ります。
このとき、水酸化カルシウムの影響でグルコマンナンの分子同士が結合することにより、水溶性の食物繊維から不溶性の食物繊維に変化するということです。
不溶性の食物繊維は腸内の水分を吸って大きく膨らみ、腸を刺激して蠕動運動を活発にします。ただし、腸内で便が停滞すると、水分を失って固くなり、便秘を促進してしまうことがありますので、水分をしっかりと取る必要があります。
こんにゃくペーストは水溶性食物繊維の宝庫
一方、水溶性の食物繊維を取りたい方や、料理にしっとりとした柔らかさを出したい方におすすめなのが、水酸化カルシウムのような凝固剤ではなく、一部のゲル化剤を利用して作られた製品です。これらには水溶性食物繊維の状態のまま、含まれています。製品の原材料の部分を確認してみてくださいね。
また、こんにゃくから水溶性食物繊維を取り出して作られた「液体こんにゃく・こんにゃくペースト」という製品も、インターネットなどで購入することができます。
パサパサして食べにくくなりがちな、鶏むね肉などの脂質が少ない肉を利用して作るつみれに少量加えると、柔らかくジューシーに仕上げることができます。
水溶性の食物繊維は腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えるほか、便の水分を保ち、柔らかくする働きがあります。汁物に加えると適度なとろみをつけることもできるので、量を加減しながら試してみてくださいね。
食物繊維が豊富なこんにゃくは上手に食べることで排便を促し、コレステロールや血糖値の上昇を抑えることができることから、体の砂(不要物)を出す、と言われるようになったのかもしれませんね。
こんにゃくを食べるときの注意点
お財布にも優しく、肥満・便秘解消や、コレステロールを排泄、血糖値の上昇を抑える、と、こんにゃくは現代人の体にとてもよい食品ですね。調理前には砂糖をもみ込むことで柔らかく煮ることができます。
しかし、咀嚼、嚥下に不安が出てきた方や小さな子どもには、たとえ柔らかく炊いていても口の中でまとまりにくかったり、のどに詰まらせてしまったりする危険があり、少々食べにくい食品でもあります。不安がある場合は、メニューには加えないように注意しなくてはなりません。
しかし、摂食障害が出てきた方や小さな子どもにとって、危険な食べ物は何もこんにゃくに限ったことではありません。東京消防庁のサイトによると、誤嚥の原因が、お粥類が最も多いというのが意外なところです。
誤嚥事故につながらないようにすることが最も大切ですが、こちらのサイトには万が一の場合の救急の手当方法も掲載されています。ダウンロードできるPDF版も用意されていますので、ご参考になさってくださいね。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/stop/stop-old03.html
こんにゃくは副菜として利用して
カロリーをはじめとする栄養素は少ないこんにゃくです。便秘解消やコレステロール値の低下、ダイエットにはおすすめですが、食が細くなり、低栄養が気になる方がメインのおかずとして食べると、ますます栄養が取れなくなってしまいます。
ダイエットなどが必要ではない方の場合は、食卓に上らせる際には副菜の一つとして利用し、メインには栄養バランスが整ったおかず、ごはんなどの炭水化物も忘れずに取れるようにしましょう。
仕事や通院などで忙しく、ご家庭での調理で栄養バランスを整えることが難しい日には、配食のふれ愛のお弁当がおすすめです。配食のふれ愛のお弁当は栄養学のプロである管理栄養士がこだわりを持って選んだ食材を利用し、食べる方のことを想って作ったお弁当です。
普通食はもちろん、咀嚼・嚥下に不安がある方におすすめのきざみ食や、やわらか食、ムース食、また、持病による食事制限がある方にも手に取っていただきやすいカロリー調整食やたんぱく調整食など、種類も豊富に用意されています。
今なら無料試食キャンペーンを実施中です。この機会にぜひお試しくださいね。
美味しく食べたいこんにゃくレシピ
今話題の粉末こんにゃくとは?
摂食障害が出てきた方には多少なりとも注意が必要なこんにゃくですが、含まれている食物繊維を利用したい場合に便利なのが、原料の粉末こんにゃくです。最近では粉末こんにゃく、凝固剤として利用する水酸化カルシウム、ともにインターネットや産地の道の駅などで、少量でも入手することができるようになっています。
咀嚼・嚥下ともに不安があるわけではないが、市販のこんにゃくは固すぎる…という方には、水分を調整して柔らかく作ることができる、手作りこんにゃくもよいですね。
粉末こんにゃくはサラサラとした状態で、水溶性食物繊維の「水を抱き込む力」でお茶などに、とろみをつけることができます。片栗粉とは違い、時間の経過や唾液に含まれる消化酵素の働きによりサラサラになってしまうことがないので、飲料に添加するのにもよいですね。
ただし、しっかりと水分を抱き込ませてとろみをつけるには、利用する前に1時間程度おいた方がよいので、朝に一日分のお茶を用意し、その際に混ぜてしまうことをおすすめします。
粉末こんにゃくの使用方法とレシピ
※写真は右が手作りの刺身こんにゃく、左があおさ入り玉こんにゃく、中央の丸い皿が粉末こんにゃく
基本のこんにゃく
本来の固さのこんにゃくは、粉末こんにゃく20gに対し水分を900cc程度で作るのですが、今回は柔らかく仕上げるために水分を多く加えています。しっかりとした食感が欲しい場合は水分量を加減してください。
【材料】 1.2リットル容器1つ分
粉末こんにゃく 20g
水 1リットル
(粉末こんにゃく用)
水酸化カルシウム 1g強
(凝固剤)
水 200cc
(水酸化カルシウム用)
【作り方】
①粉末こんにゃく用の水を60℃程度にあたため、ボールに入れる。
②(1)のボールの湯をぐるぐると混ぜながら粉末こんにゃくをパラパラと少しずつふり入れ、全量が入り切っても4~5分混ぜ続ける。
③混ぜ続けると粉末こんにゃくに含まれる水溶性の食物繊維が水分を吸収し、やがて液体のりのように粘りが出てくるので、そのまま1時間程度置いて、しっかりと水分をなじませる。置いておくと全体がゲル状に固まります。
④水酸化カルシウムを水で溶く。(3)を再びもみほぐし、水酸化カルシウムの溶液を一度に加え、再びしっかりともみ込む。しばらくすると水酸化カルシウム溶液と(3)がなじみ、再び粘りのあるひと塊のゲル状になるので、バットに流し込み、表面を平らにならす。
⑤(4)を30分程度置いておくと生地が落ち着き、バットからきれいに剥がれます。鍋にたっぷりの湯を沸かし、弱火で30分煮ると出来上がりです。
※あおさやゆず、唐辛子などを混ぜるときは(2)の段階で加えます。玉こんにゃくにするには、(4)でバットに入れずに、肉だんごを作る容量で丸め、すぐに茹でます。
茹で上がったら冷水にとり、薄くスライスすると、柔らかくて比較的食べやすい刺身こんにゃくとして召し上がっていただけます。
和風ピリ辛こんにゃく
こんにゃくをごま油としょうゆ、唐辛子で炒めるかみなりこんにゃくは有名ですが、今回は家庭で余りがちな七味唐辛子を利用して作りました。唐辛子のみで辛味をつけるよりも、ゴマ、青のりや山椒、陳皮(乾燥したみかんの皮)など、文字通り7つの香りと味で、香り高く仕上がります。お試しくださいね。
【材料】 つくりやすい分量
板こんにゃく 1枚(200g)
砂糖 10g
サラダオイル 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
みりん 大さじ1/2
七味唐辛子 小さじ1/2~
【作り方】
①板こんにゃくはスプーンなどでちぎり取り、砂糖をもみ込む。水分が出てコシが抜けるように柔らかくなれば、出てきた水をさっと洗い流して、熱湯で3~4分下茹でし、ザルに取っておく。
②フライパンにサラダオイルを熱し、(1)のこんにゃくを炒め、しょうゆ、みりん、七味唐辛子を加えて全体にからめる。
こんにゃくについてのまとめ
古くから私たち日本人には当たり前のように食べられてきたこんにゃく。日本食がもてはやされるようになるまで、食用として利用しているのは、日本以外では中国のごく一部の地域のみだったようです。
今回ご紹介した食物繊維以外にも、肌に潤いを与えるセラミドという成分が含まれていることも明らかになってきました。さまざまなスタイルで楽しめるこんにゃく製品、ぜひ食事やおやつの一つに上手に利用して、健康な日々をお過ごしくださいね。