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カビと人の生活には深いかかわりがあります。古くから発酵食品にカビが利用されている反面、食品を腐らせたり、いろいろな病気の原因となるなど有害な面もあります。
目次
カビとはどんな種類の菌?
「カビ」という名前は俗称で、多くは食品や環境の中で増殖し、肉眼で見えるようになる種類をカビと呼んでいます。カビの種類は、現在わかっているだけでも9万種類以上もあるといわれています。
カビとは何か
カビはキノコや酵母などとともに真菌類と呼ばれ、原生生物に含まれます。真菌類はさらに、鞭毛菌類、接合菌類、子嚢菌類、担子菌類(キノコ)および不完全菌類に分類されます。
【真菌の分類】
真菌 | 鞭毛菌類 | ミズカビ など |
接合菌類 | ケカビ、クモノスカビ など | |
子嚢菌類 | ユウロチウム、ハンゼヌラ など | |
担子菌類 | シイタケなどのキノコ | |
不完全菌類 | 食品を汚染するカビの多く |
カビの生態
カビは「菌糸」と「胞子」でできています。糸のような菌糸は、枝分かれしながら伸びていきます。菌糸が集合したものは「菌糸体」と呼ばれます。胞子の大きさや形は菌種によって異なり、球形や棒状、三日月形、らせん状などで、直径2~10㎛のものが多くみられます。目に見えるカビの色は、ほとんどが胞子の色です。
カビが好む環境
カビの胞子は空気中を浮遊しています。人は日常的にカビの胞子を吸い込んでいますが、通常は特に症状があらわれることはありません。しかし、カビが繁殖する条件を満たしているところに胞子が付着すると、短時間のうちにカビが増殖し、次々と胞子が放出され飛散します。空気中に胞子が多量になることで、感染症やアレルギーなどの症状を引きおこしやすくなる可能性もあります。
空気中のカビの胞子が何かに付着したとき、その場所がカビの生育条件を満たしていると、数時間で発芽が始まり、枝を伸ばして菌糸を作ります。菌糸は網目状に枝分かれしながら広がっていき、菌糸体となって目に見える状態のカビになります。菌糸は胞子をつくる枝をたくさん出して先端から多数の胞子を作り、成熟した胞子が空気中へと飛散します。
カビの繁殖条件
カビの種類によって好む条件はそれぞれ異なりますが、一般的に繁殖に必要な条件は次の4つです。
・温度
カビが繁殖できる温度は5~45℃といわれます。好む温度帯はカビの種類によって異なりますが、一般的には20℃を超えると急速に活性化し、28℃前後が最も繁殖が盛んになるといわれます。
・湿度
カビの繁殖には水分が必要です。湿度60%以上で繁殖ができますが、80%を超えると繁殖は一気に加速します。
・栄養分
食品はもちろん、皮脂やホコリ、それらを含んだ汚れも栄養源となります。また、建築に使用される塗料や接着剤が栄養源となることもあります。
・空気(酸素)
カビの繁殖には酸素が必要です。衣類の保管などには、密封して脱酸素剤を入れておくことで、カビの発生を防ぐことができます。
人の役に立つカビについて
古くから、カビを利用した食品は世界中に存在しています。また、抗生物質もカビから発見されています。
カビを利用した食品
・チーズ
チーズを作るのに利用されるカビは、主に白カビと青カビです。白カビタイプのチーズは表面に白カビを繁殖させて熟成するため、表面は白いカビでおおわれていて、内部は白~クリーム色、熟成が進むと中身はやわらかくなります。カマンベールチーズやブリーチーズの製造に用いられるカビの一種であるペニシリウム・カメンベルティ(ペニシリウム・カマンベルティ)は、表面を白くおおうため、このカビを利用したチーズは「白カビチーズ」と呼ばれますが、ペニシリウム・カメンベルティはアオカビ属に分類されるカビです。
青カビタイプのチーズは、チーズの内部から熟成していきます。青カビの発育には空気が必要なため、カード(凝乳)に青カビをまぶしてから成形します。そうすることでチーズの内部にすき間ができ、すき間に青カビが繁殖するので、切り口が大理石のような模様になります。世界三大ブルーチーズと呼ばれる、ゴルゴンゾーラ・スティルトン・ロックフォールにはペニシリウム・グラーカム、またはペニシリウム・ロックフォルティというカビが使われています。
・清酒
清酒の主原料のひとつは米麹で、米麹は米にコウジカビを生育させたものです。清酒は米のデンプンをコウジカビが
糖に分解し、酵母で発酵させたアルコール飲料です。コウジカビにもいくつかの種類がありますが、一般的に清酒の原料として使用されるのはアスペルギルス・オリゼーです。焼酎にはアスペルギルス・ニガーやアスペルギルス・カワチというコウジカビ、泡盛にはアスペルギルス・アワモリというコウジカビが原料として利用されます。
・貴腐ワイン
ワインの発酵はサッカロミセス・セレビシエというワイン酵母によってアルコール発酵させますが、高価なことでも有名な貴腐ワインは、灰色カビの一種であるボトリティス・シネレアというカビが生えたブドウから作られます。このカビに自然感染することで、ブドウの果肉が脱水して糖度が増します。またカビの代謝産物によって本来のブドウにはない独特の香りも付加されます。
しかしボトリティス・シネレアは、植物に「灰色カビ病」と呼ばれる感染症を引き起こすカビでもあります。貴腐ワイン用のブドウであっても、その環境によっては灰色カビ病となり、ワインに使うことができなくなってしまうことがあります。貴腐ワインの原料となるためには、湿度や気温、感染時期などの条件がそろうことが必要です。
・みそ・しょうゆ
みそやしょうゆは大豆のたんぱく質をコウジカビで分解した後に、酵母やいくつかの微生物が協力して発酵をすすめています。みそやしょうゆに利用されるカビの代表はアスペルギルス・オリゼーで、しょうゆにはアスペルギルス・ソーヤも利用されます。これらはたんぱく質をアミノ酸やペプチド(アミノ酸が2~数十個結合したもの)に分解することで味を良くするだけではなく、ペプチドによる血圧の上昇抑制や抗酸化作用などの健康効果についても期待されるようになっています。
・カツオ節
カツオ節のうち、枯節や本枯節と呼ばれるものにはカビ付けがされています。古くは自然に発生したカビを利用して作られていましたが、現在は人工的に培養したカビが使用されています。
一般的にカツオ節に使用するカビはユーロティウム属のカワキコウジカビ(カツオブシコウジカビ)で、乾燥を好みます。
燻したカツオ節の表面を削り、カワキコウジカビを噴霧し、温度や湿度が管理されているムロで2週間ほどカビを生育させ、天日に干します。この工程を数回繰り返すことでかつお節は脱水し、害のあるカビが発生しなくなります。カビ付けをすることで保存性が高まる他にカツオ節特有の生臭みが消え、カビの生産する脂肪分解酵素によって脂肪の少ない上品な味になります。
マルコメ株式会社のウェブサイトです。発酵食品に利用される麹菌について詳しく説明されていますので、ご参照ください。
https://www.marukome.co.jp/koji/
カビから発見された薬、ペニシリン
1928年、イギリスの医学者であるフレミングがブドウ球菌の寒天培養地に発生したカビのコロニーの周辺だけ、ブドウ球菌が溶けていることに気づきました。
このことからアオカビを培養した培養液の中には細菌の発育を阻止する効果が認められ、この培養液をろ過して得た物質がペニシリンであり、実際に感染症に対して効果が認められました。しかし当時のペニシリンは不安定であり、大量生産をすることは困難でした。実際に薬として大量生産が可能となったのはそれから16年後、ペニシリウム・クリソゲヌムというカビによって大量のペニシリンを生産することができるようになりました。
人に害のあるカビについて
カビ毒
カビの中にはカビ毒と呼ばれる毒素を作るものがいて、現在300種類以上のカビ毒が知られており、それにより食中毒やがんを発症する可能性があります。汚染される可能性がある食品については、食品衛生法により検出基準値が定められており、日本国内で一般的に流通している商品については適正に検査がされています。
・アフラトキシン
アスペルギルスの仲間の一部が作るカビ毒で、発がん物質です。国外から輸入されたピーナツやピスタチオナッツなどの一部が汚染されることがあります。
・パツリン
アスペルギルスやペニシリウムの仲間の一部が作るカビ毒です。当初は抗生物質として注目されていましたが、毒性が高いことが判明しています。傷んだリンゴの果実に付着して増殖し、リンゴ果汁やリンゴ果汁を原料とする飲料が汚染されることがあります
・オクラトキシンA
アスペルギルスやペニシリウムの仲間の一部が作るカビ毒で、腎臓や肝臓に毒性があります。穀類や豆類が汚染されていることがあります。
・トリコテセン系マイコトキシン(デオキシニバレノール、ニバレノールなど)
フザリウムの仲間の一部が作るカビ毒で、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、造血機能障害などを引きおこすことがあります。麦やトウモロコシ汚染されることがあります。
カビが原因のアレルギー
カビが原因で発症するアレルギーの代表的なものには、夏型過敏性肺臓炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などがあります。
・夏型過敏性肺臓炎
夏に多くみられ、夏風邪と症状が似ていますが、原因はトリコスポロンというカビの胞子を吸い込むことで引きおこされるアレルギー反応です。肺炎を繰り返し、悪化すると命にかかわる危険もあります。トリコスポロンというカビは、湿度が高く日当たりの悪い、古い木造の住宅などに多く発生するといわれます。雨漏りや床下浸水の後などに、壁紙の裏や天井裏、床下などの見えないところに大繁殖していることがあるため、注意が必要です。また加湿器やエアコンの内部で増殖したカビが原因で発症することもあります。
・アレルギー性鼻炎
特に梅雨から夏にかけて室内で過ごしているときに、鼻炎症状が強くなる場合は、カビの胞子が原因の可能性があります。アレルギー性鼻炎の原因となるカビにはいくつかの種類がありますが、アルテルナリアというカビは、冷蔵庫や結露する壁、浴室やキッチンなどの水回りに多いカビです。アルテルナリア胞子は比較的大きいため、呼吸で吸い込まれた胞子が鼻孔にとどまることで、鼻炎症状を引きおこしやすいといわれています。
・アトピー性皮膚炎
人の皮膚に常在するマラセチアというカビは、アトピー性皮膚炎の原因や憎悪因子となることがあります。また、消化管に常在するカンジダと食物アレルギーに関連があることも示唆されています。
カビが原因の感染症
カビが原因で発症する感染症には多くの種類がありますが、比較的身近なカビによって引きおこされる感染症には、水虫、アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコッカス症などがあります。
・水虫
水虫の原因となるのは、白癬菌(皮膚糸状菌)というカビの一種です。足の皮膚表面に付着した白癬菌は、ケラチンという皮膚のたんぱく質を栄養として、最短で8時間ほどで芽が出て、2~3日で角質層に侵入するといわれます。日常的に足を清潔に保ち、乾燥させることが大切です。また家族への感染を防ぐため、足ふきマットやタオル、スリッパなどを共有することは避け、こまめに洗濯と掃除をしましょう。
・アスペルギルス症
アスペルギルス・フミガースツの胞子を吸い込むことで引きおこされる感染症です。無症状の人もいますが、咳、発熱、胸痛、呼吸困難などの症状が出る場合もあります。アスペルギルスはどこにでも存在する真菌で、通常はほとんどの人は胞子を吸い込んでも症状が出ることはありません。しかし免疫機能が低下していることで、症状が出ることがあります。
・カンジダ症
カンジダ菌は口腔内、消化管、膣などに生息している常在菌です。通常は人体に悪影響を及ぼすことはありませんが、免疫機能が低下している場合に過剰に増殖することがあります。症状は感染部位によって異なります。
・クリプトコッカス症
ハトの糞中に含まれるクリプトコッカス・ネオホルムというカビが引きおこす病気です。このカビによるクリプトコッカス髄膜炎は、肺炎から髄膜炎に移行するときわめて致死率が高く、体力の低下している高齢者や乳幼児では注意が必要です。
カビについてのまとめ
カビは人にとって有益なものも、有害なものもあります。カビによる悪影響を避けるには、カビの発生や増殖を抑えるために、こまめな清掃と清潔を心がけましょう。またカビの胞子は室内に浮遊しているので、定期的な換気も有効です。さらに、常在するカビによる日和見感染を防ぐために、規則正しい生活を心がけ、栄養バランスの良い食事で体力と免疫力を保ちましょう。
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