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米酢に穀物酢、黒酢にリンゴ酢…。スーパーマーケットにいくと様々な酢が販売されていますが、お好きなものはどの酢でしょうか?一口に酢といっても、酸味の強さや味の違い、色の濃さ、いろいろありますね。今回は、酢の中でも比較的酸味が穏やかで、料理だけでなく飲用に利用される方も多いリンゴ酢の効能や、料理への応用を、おいしいレシピも含めてご紹介します。
目次
健康によいリンゴ酢とはどのような酢なのでしょうか?
酢は人類が作った最も古い調味料
様々なフルーツや穀物から醸造される酢、日本だけでなく、世界中で愛されている調味料ですね。その歴史はとても古く、紀元前5000年頃の古代バビロニアの記録には、酢を醸造していたという記録が残っています。
古代ギリシアや中国では、酢は調味料としてではなく、薬として利用されていました。現代のように栄養成分の分析の機器やエビデンスのない古の人々が、酢には多くの薬効が含まれていたということを知っていたとは、驚きですね。
日本では、現在の大阪南部、和泉市周辺にて、4世紀頃に中国より醸造技術が伝えられたということがわかっています。とはいえ、当時は貴族しか口にすることができない、貴重な調味料だったようです。
りんご酢の栄養成分
エネルギー(kcal) | 4 |
炭水化物(g) | 0.4 |
糖質(g) | 0.4 |
ナトリウム(mg) | 3 |
カリウム(mg) | 9 |
カルシウム(mg) | 1 |
リン(mg) | 1 |
大さじ1杯(15g)あたり 日本食品標準成分表(2015年度版)(七訂)より
リンゴ酢の製造工程や純リンゴ酢との違いは?
「酢」は、さまざまなフルーツや穀物を、まずはアルコール発酵させて酒を醸造します。そこに自然界にも存在する、酢酸菌という菌を加え、酢酸発酵させて作ります。
これは、「酢」という漢字が「酒」から「作る」という組み合わせで作られていることからも、伺い知ることができます。
もともとは神への供物が自然発酵して出来上がったものだったのでしょうね。
ところで、スーパーマーケットの店頭でリンゴ酢を探してみると、「リンゴ酢」と、「純リンゴ酢」の2種類あるのをご存じでしょうか?
これは、原材料の違いに由来します。
・リンゴ酢
原材料にアルコールが添加されている。
・純リンゴ酢
原材料はリンゴ、またはリンゴ果汁のみ。
どちらを選ぶかは、価格や味の好みにもよるところですが、ピクルスなど、一度に多くの量を利用するときには比較的リーズナブルな「リンゴ酢」、ドリンクにして利用するなら、よりフルーティーな香りの純リンゴ酢を選ばれてはいかがでしょうか?
リンゴ酢は海外でも愛用されている!血糖値改善など効能とレシピ
体力回復・筋肉疲労解消
リンゴ酢に含まれるクエン酸やリンゴ酸は、細胞内のミトコンドリアという部分に働き、食べ物から取り入れた糖質などのエネルギー源を、「クエン酸回路」というシステムを利用して、効率よくエネルギーとして活用することができます。
酢を少しずつ、日常的に摂取していると、リハビリや外出などで運動量が増えた場合にも、エネルギー不足にならずに活動できるのですね。
また、乳酸やピルピン酸といった成分が筋肉内にたまると、私たちは疲労として感じ、時には筋肉痛をも感じます。リンゴ酢に含まれる酢酸が血液中に吸収されることで、全身をめぐり、これらの疲労物質を分解、排せつしてくれることで、速やかに疲労回復、筋肉痛を解消することができます。
やわらか豚と大根のさっぱり煮もの
豚肉には、糖質の代謝を促進し、疲労回復に効果的なビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンB1を効果的に吸収するため、また、豚肉を柔らかく仕上げるために、今回は下味に玉ねぎのすりおろしを加え、消化促進に効果的な大根、リンゴ酢とともに煮て作ります。
【材料】 2人分
豚肩ロース 塊肉 200g
玉ねぎ 1/8個
大根 1/4本
ブイヨン 400cc
(市販の固形ブイヨンを規定通り熱湯で溶いておく)
リンゴ酢 大さじ2
しょうゆ 小さじ1
塩 適宜
青ネギ 適宜
【作り方】
1、玉ねぎをすりおろし、豚肉全体に塗り広げる。形が崩れないように、タコ糸で縛っておく。
2、鍋に出汁を沸かし、しょうゆを加え、豚肩ロース肉を入れて弱火で煮る。途中浮いてくる脂やアクを取り除く。
3、大根は5mm程度の厚みのいちょう切りにする。下茹でするか、耐熱容器に水大さじ1とともに入れ、ラップをして600Wで5分程度過熱し、(2)の大根とともに煮る。
4、肉の中心に竹串を指してみて、透明な肉汁が出るようになれば、塩で味を調えて、火を止める。
5、火を止めて5分程度置いて味を落ち着かせてから肉を取り出して一口大に切り、大根とともに器に盛り、スープをかける。
6、小口に切った青ネギを散らす。
便秘解消・整腸作用・血糖値、コレステロール値の正常化
リンゴが原料のリンゴ酢には、もともとリンゴに含まれているペクチンという水溶性食物繊維が含まれています。このペクチンは善玉菌のえさとなり、便秘の解消、整腸作用があります。また、水溶性食物繊維は、私たちが食べた食材の糖質や脂質を包み込み、吸収されることなく体外へと排せつする働きがあります。
そのため、食後の急激な血糖値の上昇を防いだり、コレステロール値を正常に保ったりする働きがあります。
根野菜のピクルス
野菜類、とりわけ根菜には、多くの食物繊維が含まれています。食物繊維には、前出の水溶性食物繊維のほかに、不溶性食物繊維があります。
不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を盛んにし、便秘の解消、大腸ガンなどの消化器系のガンの予防に一役買っています。
日々料理をしていると、いろいろな野菜が少しずつ余り、冷蔵庫にいつまでも残っていることもあるかと思います。そんな時には、小さな保存容器に少しずつ、残り野菜のピクルスを作って食べると、無駄も防げ、野菜とリンゴ酢の効果を同時に取れてよいですよ。
【材料】 (作りやすい分量)
≪ピクルス液≫
リンゴ酢1 200cc
砂糖 1 50g
塩 1 大さじ1
鷹の爪 1 1本
お好みでホールスパイス 適宜
(スパイスは入れなくても構いませんが、おすすめは下記のような種類のものです。また、大きなスーパーマーケットのスパイスコーナーでは、「ピクリングスパイス」という名前で、数種のスパイスをミックスしたものが販売されていることがあります。お好みで、このようなものをご利用ください。)
☆クローブ 3個
☆黒コショウ 5粒
☆粒マスタード 小さじ1
☆ローリエ 1枚 など
お好みの根野菜 適宜
(料理で使って少し残った野菜類を漬け込むと、簡単です。)
【作り方】
1、使用する根野菜は必要に応じて皮をむき、にんじんやレンコンなどはさっと茹でておく。
2、小鍋にスパイスとリンゴ酢、塩、砂糖を入れてひと煮立ちさせる。
3、消毒した保存容器に(1)の野菜を詰め、冷ました(2)のピクルス液を注ぐ。
4、一日1回混ぜ、冷蔵庫で保存する。野菜のサイズにもよりますが、30分程度つけておくと味が染みてきます。
清潔な箸などで取り出して雑菌が入らないようにしておくと、2週間程度保存できます。
漬物のように箸休めとして食べるほか、細かく刻んでマヨネーズと混ぜ、タルタルソースにしてもよいですね。
血圧安定効果・むくみ解消効果
一方、リンゴ酢にはカリウムも含まれています。カリウムは、ナトリウムと1:2の割合で体内に存在し、筋肉の動きや神経細胞の伝達を司っている一方、過剰に摂取したナトリウムを体外へと排せつする働きがあります。
塩辛いものを食べすぎ、血管内のナトリウム量が増えると、私たちの体は、それを薄めるために体内に水分を取り入れます。そのため、血液の量が増え、それを全身に巡らせるために、心臓はより大きな圧力で血液を押し出さなければならなくなります。そのため血圧が高くなります。
また、水分量が増えた血液から体内に浸潤した水分は、むくみとなってしまいます。
リンゴ酢を摂取することで、カリウムがナトリウムと結合して体外へと排せつされ、血液中のナトリウム量が適量になり、血液中の水分が減ります。
そのおかげでむくみが解消されるとともに、血圧も下がるということですね。
高血圧やむくみの原因は塩分の過剰摂取だけではないですが、海に囲まれ、もともと塩分摂取量が諸外国と比べ多い日本人は、意識して取りたいですね。
肥満解消効果
また、リンゴ酢に含まれるクエン酸やリンゴ酸には、体の代謝を促進し、脂肪の燃焼を助ける働きがあります。
この実験結果については、株式会社Mizkan Holdings(ミツカングループ)様のサイトに詳細が掲載されています。ご参照ください。http://www.mizkan.co.jp/company/sunochikara/totonoeru/01-1.html
リンゴ酢を料理に少し加えることで得られる効果とは?
ここからは、リンゴ酢を料理に加えることで得られる効果を確認していきましょう。
リンゴ酢で減塩
味を調え、器に盛られた料理であるにも関わらず、食卓で食べる際に塩を振ったり、しょうゆをつけたりして食べる方は、どうしても塩分を過剰に摂取してしまいますね。
私たちの味覚は、酢の酸味や香りのある香味野菜を加えることで、塩分を多く添加しないでも満足できるようにできています。
調理の味付けの際には、酢の中でも香りがよくてマイルドな酸味のリンゴ酢を利用して減塩にチャレンジしてみませんか?
鯛の和風カルパッチョ
いつもならしょうゆをつけて食べる鯛の刺身も、大葉やネギといった香味野菜とリンゴ酢で作るドレッシングなら、塩分を減らすことができます。塩分を減らし、さらにカリウムを含むリンゴ酢を利用してつくるドレッシングで、むくみや高血圧の解消の一助になるとよいですね。
【材料】 2人分
鯛 刺身用 10切れ程度
あれば薄造り
≪香味ドレッシング≫
リンゴ酢 大さじ2
しょうゆ 小さじ1
大葉 2枚
白ねぎ 1本
しょうが 1/4かけ
サラダオイル 大さじ2
【作り方】
1、大葉、白ネギは千切りにしてさっと水にさらす。しょうがはみじん切りにし、すべてを深めのボールに入れてしょうゆとリンゴ酢で和える。
2、小鍋にサラダオイルを熱し、炒め物をするくらいの温度に温まれば(1)のボールに流し込む。
※このとき、油がはねてやけどをすることがあるので、小鍋を持つ手は鍋つかみなどでカバーし、やけど予防をしてください。また、過熱しすぎると発火することがありますのでご注意ください。
3、皿に鯛の刺身を円形に並べ、中央に(2)の香味ドレッシングをこんもりと乗せ、刺身で巻いて食べる。
リンゴ酢でカルシウムの吸収率アップ
あさりやハマグリなどの殻、また、スペアリブや鶏の手羽などの骨、これらはカルシウムでできています。酢には、カルシウムを溶かし、吸収しやすい形に変える働きがあります。
加熱することで酢の酸味は飛びますので、年を重ねて酸味のあるものが不得手になってきた方にも、安心して召し上がっていただけます。
あさりの酒蒸しやみそ汁を作る時、骨付きの鶏肉を料理するときには、加熱するときの水分や調味料と併せて小さじ1杯程度のリンゴ酢を加えてみてください。特別なテクニックが必要なわけではなく、いやな酸味が残るわけでもないのですが、リンゴ酢の酸により、煮汁にカルシウムが溶け出してくれます。
スープやみそ汁のように煮汁ごと食べることができる料理におすすめです。
リンゴ酢を上手に利用するために
このように、さまざまな効能を期待できるリンゴ酢ですが、今まで料理に使う習慣がないと、ついつい忘れがちになり、いつの間にか消費期限が過ぎてしまった…などということにもなりかねませんね、このような心配がある場合は、醤油さしなどに入れて、テーブルにおいて、サラダや煮物にほんの少しずつかけてみませんか?
日頃から栄養バランスの整った食事をとっておられる方には、さらに消化吸収の面でのメリットが得られます。一方、普段の食事にあまり手がかけられない方は、時には配食のふれ愛のお弁当を依頼し、炒め物などに少しふりかけてみてもよいですね。
配食のふれ愛のお弁当は、栄養学のプロである管理栄養士が、こだわりを持って選んだ食材を利用して作る、栄養バランスの整ったお弁当です。普通食はもとより、召し上がられる方のことを想ってつくられた、やわらか食やムース食、きざみ食やきざみ食のとろみ付きは咀嚼や嚥下に不安がある方にも選んでいただきやすいですね。
さらに、持病などにより食事制限がある方には、カロリーや塩分の計算が必要な方向けのカロリー調整食、たんぱく質の摂取に注意が必要な方のためのたんぱく調整食など、多くの種類のお弁当から最適な一つを選ぶことができます。
今なら無料試食キャンペーンを実施中です。この機会にぜひお試しお試しくださいね。
リンゴ酢をとる時の注意事項
このようにさまざまな効能が認められるリンゴ酢ですが、少々注意も必要です。というのも、リンゴ酢の含まれる酸は、歯を溶かし、口の中や食道、胃の粘膜に炎症を起こすことがあります。
一日に摂取するのは大さじ1程度にとどめ、リンゴ酢を含む食べ物や飲み物をとった後は、口の中や食道などに酢の酸が残らないように、水分を摂取するようにしてくださいね。
リンゴ酢の健康効果まとめ
スプーン1杯のリンゴ酢を料理に加えることが、私たちの体にとても良い効果をもたらしてくれることがわかりましたね。
穀物酢に米酢、黒酢に柿酢…古来より日本で醸造され、利用されている酢だけでも、何十種類もあります。それぞれ少しずつ味や香り、また、含まれている栄養素にも違いがあります。機会があればいろいろと試してみたいものですね。
中でも、リンゴ果汁のみを使って作られるリンゴ酢は、香りもとてもフルーティーで酸味は比較的穏やかですので、酢の酸味が苦手な方にも比較的受け入れていただきやすいものです。
それでも苦手だという場合は、一度沸騰させると、酸味の角が取れ、よりまろやかになります、どうぞお試しくださいね。