こんにちは!配食のふれ愛のコラム担当です!
栄養バランスのよい食事をとりたい方へ、お弁当の無料試食はこちらから!
日々、いろいろな健康食品の広告を目にするようになりました。さまざまな健康効果を期待する商品が売られていますが、その中には高齢者特有の症状の予防・改善効果を示したものも数多くあります。
本来栄養素は食事から摂るものです。本当に健康食品で補う必要があるのでしょうか。健康食品の上手な取り入れ方を考えてみましょう。
目次
健康食品とは
健康食品には、国が特定の機能の表示を許可した「保健機能食品」と、そうでないものがあります。保健機能食品はさらに、特定保健用食品と栄養機能食品の2種類に分けられます。
特定保健用食品とは
「トクホ」の呼び方で一般に知られるようになりました。「体の生理学的機能などに影響を与える関与成分を含み、健康増進法第26条第1項の許可を受け、その摂取により、特定の保険の目的が期待できる旨の表示(保険の用途の表示)をする食品」とされています。
食品ごとに国の審査を受ける必要があり、特定保健用食品として販売するには、その表示について消費者庁長官の許可を受けなければなりません。平成30年9月現在で、1,000件以上の食品が特定保健用食品の許可を受けています。
栄養機能食品
特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものです。栄養機能食品として販売するには、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が、定められた上限値から下限値の範囲内にある必要があるほか、栄養成分の機能だけではなく、注意喚起表示なども表示する必要があります。
<保健機能食品の分類>
国が表示を許可しているもの | |||
保健機能食品 | 特定保健用食品 | 特定保健用食品 | 食生活において特定の保険の目的で摂取をするものに対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品 |
特定保健用食品(疾病リスク低減表示) | 関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、疾病リスク低減表示を認める特定保健用食品(現在は関与成分としてカルシウム及び葉酸) | ||
特定保健用食品(規格基準型) | 特定保健用食品としての許可実績が十分であるなど科学的根拠が蓄積されている関与成分について規格基準を定め、消費者委員会の個別審査なく、消費者庁において規格基準への適合性を審査し許可する特定保健用食品 | ||
特定保健用食品(再許可等) | すでに許可を受けている食品について、商品名や風味などの軽微な変更等をした特定保健用食品 | ||
条件付き特定保健用食品 | 特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として許可する特定保健用食品 | ||
栄養機能食品 | 身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分の補給・保管を目的に利用する製品。12種類のビタミン(A、B1、B2、B6、B12、C、E、D、K、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、5種類のミネラル(鉄、カルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛、銅)、n-3系脂肪酸の含有量が国の基準を満たしている製品には、定められた栄養機能表示をつけ、国への届け出や審査を受けなくても販売することができる。 |
健康食品とサプリメントの違い
アメリカでは、健康増進を目的としたサプリメント(dietary supplement)を「従来の食品・医薬品とは異なるカテゴリーの食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセル)のもの」と定義しています。
現在日本ではサプリメントに対して明確な定義はされていませんが、健康食品の一種であると考えられています。
薬との健康食品の飲み合わせ
薬の中には、特定の食品との飲み合わせに注意が必要なものがあります。食品に含まれる成分によって薬効の増強や減弱、副作用の増強などがあるためです。同じように、薬と健康食品との飲み合わせも注意が必要な場合があります。特に健康食品の場合は、特定の成分が非常に多く含まれている可能性があり、薬の作用に大きく影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
健康食品に含まれる成分と医薬品の相互作用
基本的には、定期的に薬を服用している人は、健康食品の摂取をやめましょう。どうしても摂取したい場合は、かかりつけの医師・薬剤師・管理栄養士などに相談してみましょう。
健康食品の成分 | 薬の成分 | 影響 |
ビタミンB6 | フェニトイン (抗てんかん薬) | 薬効の減弱 |
葉酸 | 葉酸代謝拮抗薬 (抗がん剤) | |
ビタミンK | ワーファリン (抗血液凝固剤) | |
ナイアシン | HMG-COA還元酵素阻害薬 (高コレステロール血症治療薬) | 副作用の増強 |
ビタミンD・カルシウム | ジギタリス製剤 (心不全治療薬) | 薬効の増強 |
鉄 | メチルドパ (降圧剤) | 薬効の減弱 |
中性アミノ酸 | レボドパ (抗パーキンソン病薬) | |
コエンザイムQ10 | 降圧剤、糖尿病治療薬 | 薬効の増強 |
比較的高齢者に多く処方される薬について挙げましたが、この他にも注意が必要な組み合わせは多く存在します。継続的に健康食品を摂取している人は、薬の処方を受ける時には医師に伝えるようにしましょう。
健康食品を効果的に摂るには
健康食品は薬ではなく食品ですが、やはり自然界に存在する食材とは異なります。原料が「天然由来」などとうたわれていても、必ずしも「安全性が高い・効果が高い」という証拠にはなりません。健康食品を有効に使用するためには、どのようなことに気をつければよいでしょうか。
複数の健康食品を併用しない
健康食品の多くは、他の健康食品に含まれる成分同士の相互作用については検証されていません。複数の健康食品を摂取していると、体調に異変が起きた時に、その原因が何かを突き止めることが困難となります。
摂取した記録をする
健康食品を摂り始めたら、「何を・いつ・どのくらい」摂取したのかを記録しておきましょう。体調に異変があった場合はすぐに摂取を中止して、医療機関を受診しましょう。
また体調に良い変化があらわれた場合も、記録をしておくことで効果を評価する材料となります。
アレルギーに注意する
「生薬」や「ハーブ」が使われているものや、原料が「天然成分・天然由来」などとうたわれているものは、アレルギーの原因になりやすいことがあります。アレルギー体質の人は特に、摂取する前に原料や成分を確認し、かかりつけの医師などに相談するようにしましょう。
厚生労働省が健康食品についての情報を公開しています。健康被害などについても確認することができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
高齢者の悩みに効果があるといわれる健康食品
関節痛や血圧の上昇など、年齢を重ねるごとにあらわれやすい症状があります。それらに効果があるといわれる成分の健康食品は、実に多くの種類が販売されています。その効果については各メーカーでの研究・検証がされていますが、残念ながら十分なデーターもなく、実験・検証がされていない粗悪な商品が出回っていることもあります。
国の審査を通過しているという点で、特定保健用食品「トクホ」の商品は、健康食品を選ぶときの目安になるといえます。
ただしあくまでも医薬品ではなく食品であるため、その効果には生活習慣や体質などの個人差が大きく、誰にでも一定の効果が得られるということではありません。一定期間摂取しても効果が感じられない場合は、摂取を中止することも考えましょう。
グルコサミン
グルコサミンは、関節痛の緩和に効果が期待できるという目的で販売されることが多い成分です。グルコサミンはアミノ酸の一種で人の体内で合成することができます。
しかしグルコサミンの体内での合成能は加齢に伴って低下するため、食品から摂取することで関節の動きを滑らかにして関節痛の緩和に役立つのではないかと期待されています。
グルコサミンの効果は海外でも期待されていて、有効性が示されている臨床データーもありますが、全く効果がないという臨床データーもあり、その効果については不明な部分もあるといえます。グルコサミン自体はもともと体内にある成分なので、適切な使用であれば安全性は高いといえます。
しかしその原料によっては、アレルギーを発症する可能性があります。原料にエビやカニなどの殻に含まれるキチンを使用している場合は、エビ・カニにアレルギーのある人は避けるようにしましょう。
血糖値や中性脂肪、コレステロール、血圧に影響を及ぼす可能性があるため、持病のある人は摂取を開始する前にかかりつけの医師や薬剤師、管理栄養士などの専門家に相談しましょう。
青汁
一口に青汁といっても、その主原料や含まれる成分の種類は非常に多様です。主な主原料は、大麦若葉、ケール、明日葉、桑の葉、モロヘイヤ、クロレラなどで、そこに数種類の野菜類が加えられているものが多いようです。形状も粉末や液体、ピューレ状のものなどがあり、価格帯も非常に幅広く売られています。
多くの商品が効果としてうたっているのは、「野菜不足を補える」ということで、カリウムや食物繊維が主な有効成分のようです。さらに商品独自に他の栄養成分を添加している商品もあります。
高齢者が摂取するとき、腎機能の低下がある場合は、カリウムの多量摂取により腎機能に影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。また抗血液凝固剤のワーファリンを服用している人は、クロレラを含む青汁は禁忌です。
原料にクロレラが含まれていなくても、ケール、ブロッコリーなどビタミンKを多く含む野菜が使用されている場合は、ワーファリンの薬効に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
また原材料の中には、アレルギーの原因となる野菜類が使用されていることもありますので、アレルギー体質の人は青汁の摂取に注意が必要です。
トクホのお茶 緑茶・ゴマ麦茶・蕃爽麗茶など
「トクホ」のお茶にもいろいろな種類があります。大きく分けてその効果は「血圧」「血糖」「脂質代謝(中性脂肪・コレステロール)」の3つに分けられるようです。お茶の種類も緑茶・ウーロン茶・その他のお茶がいろいろあります。
緑茶の有効成分は主に茶カテキン、ウーロン茶ではウーロン茶ポリフェノール、その他のお茶ではそれぞれに異なった有効成分の効果がうたわれています。いつもの水分摂取におきかえて、適正量を摂取するには健康被害は起こりにくいと考えられますが、すでに高血圧、糖尿病、脂質異常症などで治療を開始している人は、かかりつけの医師に相談してみましょう。
セサミン
セサミンは、ゴマの中にわずか0.5%しか含まれていない活性型ポリフェノールの一種です。ゴマはそのまま食べても人の体内では消化吸収が難しく、有効成分の吸収率は非常に低いと考えられています。
セサミンにはコレステロール低下、血圧低下、脂質代謝改善、疲労回復、など多くの効果が期待されていますが、まだ明確な作用や必要量は確立されていないのが現状です。セサミンによる健康被害や副作用などは報告されておらず、更なる研究が期待されます。
DHA・EPA
DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)はどちらも魚、特に青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸です。人の体内では合成されないため、食品から摂る必要があります。DHA・EPAには高齢者にはとても興味深い、認知機能の維持に良い影響があるといわれています。脳神経の再生を促進し、さらに神経細胞を保護する働きがあるといわれます。
また神経細胞の情報伝達を亢進させ、アルツハイマー型認知症の原因と考えられているアミロイドβたんぱく質の沈着を抑制する働きが報告されています。他にも、中性脂肪の低下作用や抗血栓作用(血液サラサラ効果)、アレルギーの軽減など、多くの健康効果が期待されています。
EPAの抗血栓作用は医学的にも実証されており、医薬品としても使用されている成分です。しかし摂り過ぎによる副作用には注意が必要であり、すでに治療中の人や、手術や出血を伴う外科的治療、歯科治療などを受ける際には医師の指示に従う必要があります。
ハーブ
日本ではハーブというと料理に使ったり、お茶として飲むイメージが強いかもしれませんが、ヨーロッパではハーブは医薬品として扱われるものもあります。血糖値や血圧、コレステロール値などに影響を及ぼすものや、気持ちを落ち着かせる、鎮静作用、催眠作用など、精神面に影響があるものについては注意が必要です。
すでに治療中の人は、ハーブが原料の健康食品を使用する前に、必ずかかりつけの医師に相談してください。
まとめ
健康維持の基本はバランスの良い食生活です。しかし高齢者は、加齢とともに食べにくい食品が増えたり、食事量の低下が生じることは避けがたいこともあります。上手に健康食品を取り入れて、健康の維持に役立てましょう。