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壮年期では、バランスの良い食事を食べ過ぎないように、肥満の予防や改善が大切といわれます。50代、60代、70代と年齢を重ねていくうちに、食習慣や体重には大きな変化がなくても、体の中では目に見えない変化が起きているかもしれません。
高齢の方が生活の質を維持しつつ、糖尿病の治療に取り組むために、どのような注意点があるのでしょうか。
目次
高齢者糖尿病の特徴
年齢にかかわらず目立った症状の出にくい糖尿病ですが、高齢者の場合は特に、糖尿病が原因となってあらわれている症状でも「加齢によるもの」ととらえてしまい、対処が遅れることがあります。壮年期から糖尿病の治療を継続している場合でも、加齢に伴って注意が必要となることがあります。
低血糖を起こしやすい
低血糖の主な初期症状は、脱力感、冷や汗、ふるえ、動悸などがあります。血糖値がさらに下がると、頭痛、吐き気、集中力の低下などが起こります。さらに下がると意識障害、けいれんなどが起き、命に危険が及ぶことがあります。
高齢者では自律神経の働きや認知機能の低下によって初期の低血糖の症状を自覚しにくいことがあり、気づいたときには重症の低血糖に陥っていることがあります。
糖尿病の高齢者では動脈硬化が進行していることが多く、重症の低血糖は心筋梗塞や脳梗塞の発症原因となることもあり、その後の認知機能の低下や寝たきりの生活につながるおそれもあります
薬の効果が変化する
加齢に伴って薬を分解する肝臓の機能や、薬を排出する腎臓の機能が低下してくると、これまで使用していた血糖値を下げる薬の効果が効きすぎてしまう可能性があります。定期的な受診を継続することと、自分が使用している薬について知っておくこともとても大切です。
糖尿病の経口薬には大きく分けて、インスリン抵抗性を改善する薬、インスリンの分泌を促進する薬、糖の吸収や排泄を調節する薬の3タイプがあります。処方された薬についての情報は、お薬手帳で確認するようにしましょう。
それぞれのタイプの中でもさらに作用機序の異なる薬があるので、心配なことなどがある場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。
運動療法には注意が必要
糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つの柱が基本です。高齢者でも運動療法は、血糖値のコントロールにとても有効です。他の疾患の予防や、筋力を維持してフレイルの予防に役立つため、ぜひ運動療法も習慣化したいところです。
しかし自己流の運動にはリスクが伴うので、運動療法を行うときには必ず医師に相談し、適切な方法と運動量の指導を受けましょう。
また運動療法を継続して行っている場合でも、以下のことに注意をしながら運動療法を行うようにしましょう。
高齢者糖尿病の運動療法の注意点
1.動悸や胸の圧迫感などを感じたら、すぐに運動を中止しましょう。また足や腰に痛みがあったり体調がすぐれないときは無理をせず、運動を休むようにしましょう。
2.運動をするときは複数人で一緒に行うか、何かあったときにすぐに声をかけられるよう、周囲に人がいる環境で行いましょう。
3.運動前の準備体操と、運動後の整理体操をしましょう。
4.万が一の低血糖に備えて、ブドウ糖やスティックシュガーを携帯しましょう。
食習慣の見直しが必要
誰でも長年続けてきた習慣を変えることは難しいことです。高齢になってから糖尿病を発症し、食事や生活に関わる習慣を変えることはもちろん大変なことですが、壮年期から糖尿病の治療を継続している場合でも、その病状や合併症、服薬内容などによって食事や生活を見直すことが必要です。
近年の医療や栄養、運動の科学的進歩は素晴らしく、薬の種類も増え、10年前には糖尿病の治療として当たり前だったことも、今では変容していることがあります。医師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士など、各分野の専門家を上手に利用して、自分に合った食習慣や生活習慣に見直していくことが必要です。
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高齢者糖尿病のコントロール目標
高齢者の血糖コントロールは、単純に血糖値とHbA1cの値だけを適正に保てばいいということではありません。年齢、罹病期間、低血糖のリスク、生活環境(家族などのサポート体制)などに加えて、併存する疾患、認知症の有無、身体機能(ADL:日常生活動作)などを考慮して個別に目標を設定する必要があります。また、加齢に伴って重症低血糖のリスクが高くなることにも十分な注意が必要です。
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)
患者の特徴・ 健康状態(注1) | カテゴリーⅠ | カテゴリーⅡ | カテゴリーⅢ |
①認知機能正常 かつ ②ADL自立 | ①軽度認知機能障害~軽度認知症 または ②手段的ADL低下 基本的ADL自立 | ①中等度以上の認知症 または ②基本的ADL低下 または ③多くの併存疾患や機能障害 |
重症低血糖が危惧される薬剤の使用 | なし (注2) | 7.0%未満 | 7.0%未満 | 8.0未満 | |
あり (注3) | 65歳以上 75歳未満 7.5% 未満 (下限6.5%) | 75歳以上 8.0%未満 | 8.0%未満 (下限7.0%) | 8.5%未満 (下限7.5%) |
(注1)認知機能や基本的ADL(着衣、移動、入浴、トイレの使用など)、手段的ADL(IADL:買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理など)の評価に関しては、日本老年医学会のホームページを参照する。エンドオブライフの状態では、著しい高血糖を防止し、それに伴う脱水や急性合併症を予防する治療を優先する。
(注2)高齢者糖尿病においても、合併症予防のための目標は7.0%未満である。ただし、適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法の副作用なく達成可能な場合の目標を6.0%未満、治療の強化が難しい場合の目標を8.0%未満とする。下限を設けない。カテゴリーⅢに該当する状態で、多剤併用による有害作用が懸念される場合や、重篤な併存疾患を有し、社会的サポートが乏しい場合などには、8.5%未満を目標とすることも許容される。
(注3)糖尿病罹病期間も考慮し、合併症発症や進展阻止が優先される場合には、重症低血糖を予防する対策を講じつつ、個々の高齢者ごとに個別の目標や下限を設定してもよい。65歳未満からこれらの薬剤を用いて治療中であり、かつ血糖コントロール状態が図の目標や下限を下回る場合には、基本的に現状を維持するが、重症低血糖に十分注意する。グリニド薬は種類、使用量、低血糖などを勘案し、重症低血糖が危惧されない薬剤に分類される場合もある。
加齢に伴う合併症
糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害は糖尿病の三大合併症といわれる疾患ですが、加齢はこれらの合併症に大きく影響します。また、近年の調査や研究によって認知症と糖尿病の関係も示唆されています。
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症は、血糖値の高い状態が続くことで腎臓内の血管が障害を受け、腎臓の機能が低下することで発症します。ある程度病状が進行するまでは、自覚症状はほとんどありません。腎機能の低下に伴ってたんぱく尿やむくみ、貧血などの症状があらわれ、最終的には透析療法などの腎機能を代替する治療方法が必要となります。
糖尿病性腎症では、その腎機能の段階によって食事療法の具体的な内容は異なります。血糖コントロールのためのエネルギー(カロリー)制限、血圧コントロールのための塩分制限、腎臓を保護するためのたんぱく質制限など、複数の制限が重なることで食事療法は難しいものになることがあります。
糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症では血糖値の高い状態が続くことで、眼球の中の毛細血管が障害を受けて発症します。眼球中の血管が破けたり詰まったりすると、血流を確保しようと眼は新しい血管を作りますが、新しい血管は細くもろいのですぐにまた壊れてしまいます。これを繰り返すことで網膜がはがれてしまい、視力の低下や失明を招きます。
糖尿病性網膜症では眼科での治療と同時に血糖コントロールが重要です。食事療法は減塩とエネルギー制限が中心ですが、視力の低下に伴って食事の摂りにくさが生じることがあります。食卓の照明や食器の色などで、食事が見えやすくなるように工夫しましょう。見えにくいことで食事が食べにくかったり、食欲が低下すると、血糖コントロールにも悪影響が及び、低血糖のリスクも高まります。
糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害では、いろいろな症状が起こる可能性がありますが、血管が傷ついたり血流が低下することで、神経の働きが障害されて発症します。初期症状として多くあらわれるのは手足の指先のしびれや冷えです。しびれや冷えの影響で痛みの感覚が鈍くなり、ちょっとしたケガなどに気づきにくくなります。
糖尿病では傷が治癒しにくいことがあるため、適切な処置が遅れることで、大したことのない傷や怪我が重症化することがあります。特に足は、高齢者に多い爪白癬などが原因となって重症化することがあるので注意が必要です。
糖尿病性神経障害では血糖コントロールが重要なため、食事療法は減塩とエネルギー制限が中心ですが、神経障害の症状によって低血糖に気づきにくい無自覚性低血糖のリスクが高まります。こまめに血糖値を測定し、低血糖が起きやすいタイミングがわかっていれば、適切に間食を摂ることで低血糖を避けられます。低血糖の予防については医師に相談の上、適切な食事療法の指導を受けましょう。
認知症
糖尿病と認知症についての関係については、まだ解明されていない部分が多いのが現状ですが、アルツハイマー型認知症は糖尿病患者で有意に発症率が増すという調査結果が出ています。また重症高血糖も重症低血糖も脳の血管に悪影響を及ぼすため、脳梗塞などのリスクが高まり、脳血管性認知症の発症率も高くなります。高齢者糖尿病の場合は、血糖値の良好なコントロールが認知症予防にも有効といえます。
食事療法の注意点
高齢者糖尿病での食事療法で、壮年期の糖尿病とは異なる注意点を挙げます。
フレイル
フレイルとは加齢に伴って筋肉量が減少し、身体機能が低下することで要介護状態に近づいていることをあらわします。早期に適切な対応をとることで、健康を取り戻すことができます。
20代をピークに人の骨格筋量は減少するといわれています。血糖の80%を取り込む骨格筋が減少することは、糖尿病のコントロールにも悪影響を及ぼします。筋肉量を維持することはフレイル予防と糖尿病のコントロールの両方に有効といえます。そのためには糖尿病の食事療法も、壮年期のエネルギー制限を中心としたものから低栄養対策を考慮に入れた内容に転換する必要があるといえます。
血糖コントロールの範囲内で過不足なくエネルギーを摂取しながら、たんぱく質は十分に摂る必要があります。具体的な摂取栄養量については、一人一人の体格や病状、筋肉量などによって異なるため、医師の指示に従いましょう。
第一三共株式会社のサイトです。フレイルについてわかりやすく説明されているので、ご参考ください。
https://www.ehealthyrecipe.com/medical/frailty/info/
シックデイの血糖コントロール
高齢者の血糖コントロール目標がやや緩い設定であり、HbA1cの下限値が決められているのは、低血糖を防ぐことが目的といえます。日常の食事に配慮することはもちろんですが、特に注意が必要なのが「シックデイ」と呼ばれる体調がすぐれない日の食事です。
風邪や胃腸炎など、重症ではない病気であっても、身体にとっては大きなストレスとなります。ストレスホルモンの分泌や食欲不振による食事量の減少、脱水などは血糖値に影響を及ぼすため、血糖値が大きな幅で乱れる可能性があります。
シックデイを乗り切るには、早めに受診をして適切な治療を受けることが大切です。食欲不振がある場合は糖尿病の食事療法にこだわらず、食べやすく消化の良い、炭水化物をものを摂取しましょう。
脱水症状に注意し、水分はこまめに飲むようにします。嘔吐や下痢などが続く場合は、経口補水液の使用も有効です。症状や状態に応じて、食事や水分補給についても医師の指示を受けましょう。
噛んで食べること
何でもよく噛んでおいしく食べられることは、食事療法の効果を上げるためにはとても重要なことです。自分の歯でも義歯であっても、しっかり噛める口腔機能を維持することが大切です。
食事の始めに野菜類をしっかり噛んで食べることで、血糖値の急激な上昇を抑制することができ、少ない食事量であっても満足感を得ることができます。また塊の肉でもしっかり噛んで食べることができれば、良質のたんぱく質を摂ることができます。
噛む回数は認知機能にも影響を及ぼすといわれており、糖尿病の食事療法に限らず、高齢者の健康管理にとって口腔機能の維持はとても重要なことといえます。
まとめ
高齢者糖尿病では、年齢や体格だけではなく病状や合併症などに応じて、それまでの食事療法を見直すことが必要です。食事量が落ちてきたと感じたり、特に何もしていないのに体重減少がみられた場合は、食事療法について医師や管理栄養士に相談してみましょう。