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認知症の基礎知識と症状別食事のポイントを解説

作成日:2019年4月10日

こんにちは!配食のふれ愛のコラム担当です!
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認知症の基礎知識と症状別食事のポイントを解説

人生100年時代と言われている日本。長寿になることはうれしいですが、一方で認知症を患う方が増えているのも事実です。

何らかの原因で脳が萎縮し物忘れがはじまり、次第に普段の生活にも支障が出てくる。このような誰にとってもつらい現実があります。

この記事では、大切なご家族が認知症になられたときに必要な基礎知識と食事のときに注意する症状別のポイントをお伝えしていきます。

認知症の基礎知識とポイント

はじめに認知症の基礎知識を振り返っておきましょう。認知症という大きなくくりは知っているけれど、認知症は症状によって少しずつ対応方法を変える必要がありますから、まずは基本的なことを知っておいていただきたいと思います。

認知症とは

認知症とは、どのようなことだと思いますか?一般的には記憶が曖昧になることというイメージだと思います。

しかし認知症とは、これだけではありません。成人期以後に何らかの原因(原因はあまりわかっていません)により起こる知能障害です。また、認知症とは疾患名ではなく、状態を表している言葉なのです。

そして認知症には次の3つの特性があります。

・知能障害がある
・脳器質性要因(脳の組織に何らかの異常)がある
・意識障害がない

認知症は高齢になるほど、増えていく病気です。現在でも4人に1人認知症が起こるとも言われています。

認知症と老化の違い

誰もが高齢になると物忘れしやすくなります。昨日の夕飯のおかずを覚えていないとか、知っている人の名前が出てこないとか、地名や食材の名前が出てこないこともあります。

ではこのようなことも含めてすべて認知症なのかというと、そんなことはありません。

認知症と老化によるもの忘れとは、出ている症状が違っています。

 (1)物忘れ

物忘れとは記憶を忘れている状態です。老化による物忘れは「健忘」と呼ばれ、これまでの生活や体験の一部分だけを忘れている状態です。

昨日の夕飯のおかずは覚えていなくても、夕飯を食べたことは覚えているはずです。この状態が「健忘」なのです。

一方、認知症で起こる物忘れの場合は、体験全てを忘れています。これは健忘ではなく記憶障害によって起こっています。

ですから、認知症の場合ですと、昨日の夕飯のおかずを覚えていないですし、夕飯を食べたことも覚えていません。

 (2)自覚

老化による物忘れは、「あ~、出てこない」「ここまで出てきているのに~」という具合に、忘れていることを自覚しています(自覚しているからくやしいのです)。

しかし、認知症の場合ですと、自分が忘れているという自覚がありません。そのため家族から「さっきも言ったでしょ」と聞かされても、さっき言った体験そのものを覚えていないので、ご自身としては「えっ、はじめて言ったのに……」となり混乱が始まるのです。

 (3)物忘れの進行度

老化による物忘れは進行しません。忘れる頻度は増える可能性がありますが、進行性ではないので急激に忘れることは増えません。

これが認知症の場合ですと症状が進行します。物忘れの頻度も増えていきますし、忘れる記憶の範囲も広がっていきます。

 (4)見当識(けんとうしき)

人は「だいたい○時くらい」「だいたいこの場所」「たぶん○○さん」というように、見当をつけてものを見たり確認したりします。

老化による物忘れの場合、見当識に障害が出ることはありません。しかし認知症の場合は見当がつかなくなります。

時間や場所や人の見当がつきませんので、自分が手にしているスプーンですら「何をするものなのか」がわからないことがあります。

 (5)行動

老化による物忘れから、普段の行動に支障が出ることはあまりありません。時間や場所や一緒にいる人によって、自分が行動するべきことをコントロールしています。

一方、認知症の場合は、妄想が起こることで突然動き出すこともあります。夜になると何時間も家の廊下を徘徊することもあります。家の鍵を開けて外出し徘徊することもあります。

このような行動が続くと、ご本人は混乱状態が続いていますので暴言などを言うこともあり、社会生活に支障が出てきます。

これら5つの違いからわかることは、老化での物忘れは記憶障害ではありませんので、激しく混乱することはありません。社会生活も送ることができます。

認知症の場合は、この状態と反対になります。記憶がないので混乱します。家族やまわりの人は、何を言っているのかわからないので混乱します。そして、普段の生活に支障が出てきます。

認知症の症状とは

認知症の症状には、代表的な4つの症状があります。

中核症状認知症になると必ず現れる症状。記憶障害と認知障害
周辺症状症状が現れる人とそうでない人がいる。心理的要因、環境的要因によって症状が出ると言われています。不安、焦燥、うつ、興奮、幻覚、妄想、せん妄、徘徊など
行動・心理症状BPSDと呼ばれる症状です。
BPSDは3つのグループに症状の特徴を分けることができます。
グループⅠ:厄介で対処が難しい症状
妄想、幻覚、抑うつ、不眠、不安、攻撃性、徘徊グループⅡ:やや対処に悩まされる症状
誤認、焦燥、部屋の中をうろうろ歩き回る、喚声

グループⅢ:比較的対処しやすい症状
泣く、叫ぶ、ののしる、繰り返し同じことを訊ねる、気力が無い

アルツハイマー病認知症の代表的な原因、アルツハイマー病は、病状の進行によって認知能力が変わっていきます。進行が進むと社会生活も困難になります。精神、運動、記憶、知能などが病状の進行により障害が顕著になる

認知症が進行したときの症状を知っておきましょう

それぞれの時期の症状を知っておけば、少しは家族も気持ちの整理ができます。

それでは認知症の原因で多い、アルツハイマー病で起こる認知症の症状を時期別に見ていきます。

 (1)健忘期

物忘れの頻度が増えてきます。慣れた場所への道順がわからなくなることもあります。昨日のことを全部忘れていたり、過去に体験した重要なことを忘れてしまっていることもあります。

また、よく会う(よく見る)人の名前が思い出せない。同じことを何度も聞いてくる。「あれ、これ、それ」という言い方が増えることもあります。

もう少し進行すると、簡単な足し算や引き算だけの計算がわからなくなったり、事実ではない話が飛びだしてくることが増えます。

 (2)混乱期

ご自身もかなり混乱されていますので、日常生活に支障が出てきます。

場所や時間や人の見当がつかない。勘違いや妄想が増えてくる。家の中や外を時間や天気に関係なく徘徊することも増えてきます。

さらに過去と現在の区別が曖昧になってくるため、いっそう混乱されコミュニケーションを取ることが少しずつ難しくなってきます。

 (3)終末期

自分の名前や家族の名前がわからなくなります。話しても意味が理解できなくなります。

日常生活に介護が必要となり、体力も低下するため低栄養から感染症などを引き起こす可能性が高まります。

認知症の人とのコミュニケーション配慮

このように認知症は症状が進むと、だんだんコミュニケーションが取りづらくなります。コミュニケーションが取りづらくなると、介護する側や家族はイライラするかもしれません。

しかし、ご自身も必死に不安や混乱と戦っているのです。

理解してもらいやすくする配慮

少しでもご本人の負担を少なくしてもらうためには、次のような伝え方を意識しましょう。

・できるだけ簡単に短い文で伝える。
・ゆっくりと話しかけ、一度にたくさん言わないようにする。
・言葉だけではなく五感を刺激しながら話す。
・1対1で話す。
・高い声よりも、落ち着いた低い声で話す。

話しやすくしてもらう配慮

こちらからの声の掛け方によって、認知症の方が話しやすくなります。

次のポイントを意識すると、コミュニケーションが変化するでしょう。

・過去ではなく(5分前も過去です)今(現在)について話す。
・できるだけ単語で話す。
・あれ、これ、それ、などは一瞬前の過去とリンクしているので使わない。
・通じないことが普通です。別の伝え方で言い換えましょう。
・「はい」「いいえ」で答えられる会話をする
・小さな子供に話しかけるようにはしない
・直接的な表現を使う

こういったポイントを少し意識してもらうだけで、安心してコミュニケーションを取ることができるでしょう。

認知症の人の症状別食事の注意ポイント

認知症の方の食事には注意が必要です。食事中に食べていることを忘れてしまう方もいらっしゃいます。また、食べ物が何かわからなくなり、途中で遊びだしてしまうこともあります。

こういったことが続くと、健康な体に必要な栄養分を摂取できなくなり、体力の低下、ひいては感染症を引き起こす原因を作ってしまうこともあります。

そこで、認知症の症状別食事の注意ポイントを紹介します。

 「アルツハイマー病の方」

アルツハイマー病の方に多い食事の問題は、何度も食事を要求する症状です。残念なことですが、アルツハイマー病の方に「さっき食べたでしょう」と話しても、食べた記憶を保持していません。

記憶を持っていないのですから、いくら「食べましたよ」と話しても納得できないのです。そこでこういったケースを少しでも減らすためには次のようなポイントに注意することが必要です。

・食事が終わった後、すぐに食器を片づけない
こうすることで、食器が見えている間は「食べてない」という要求が出にくくなります。

・アメやお菓子を少し渡す
このような対処で納得してもらえることもあります。

アルツハイマー病が進行すると、目の前のものが何なのかがわからなくなります。そうすると、お箸があってもどうやって使えばよいのかわからないので、食べないということが起こります。このような場合は、おにぎりを用意することで、自分で食べてもらえるかもしれません。

また、テーブルの上に電池が置いてあった場合、食べ物だと思って口へ入れてしまうこともあります。まず大切なことは、口の中へ入れると危険なものは、手の届くところへは置かないことです。

 「血管性認知症の方」

主に脳の血管障害で認知症が起こっている場合です。この場合に注意するポイントは「半側空間無視」と呼ばれる、視野の半分だけが見えない状態を理解しておくことです。

この状態は、食事のときでもテーブルの半分が見えていません。トレイの半分も見えていません。そのため、半分を無視して食事をするため、必要な栄養を摂取できないこともあります。

まわりの人が、トレイやお皿の向きを変えるなどすることで、気づいてもらえ必要な食事を取ることができます。

 「レビー小体型認知症の方」

レビー小体型認知症の場合、2つの注意するポイントがあります。

ひとつは、パーキンソン病のように、体がこわばったり小刻みに震えたりする方は、食事が思っているように口へ運べないことがあります。飲み物もコップのままでは手や頭が揺れるため上手く飲めず、水分不足を起こす可能性もあります。

この場合はストローなど、危なくないものを使って震えを気にせずゆっくりと飲んでもらえるようにしておきましょう。

もうひとつは「幻視」と呼ばれる現象。実際には無いものが見えてしまうため、混乱して食べ物を認識できないことがあります。

このようなことが続くと、必要な栄養分を食事から取ることが難しくなります。幻視が起こっているとき、論理的に話しても意味はありません。時間をおいて落ち着きを取り戻されてから食事を続けるのが一番です。

認知症のポイント解説まとめ

認知症の方は、認知症ではない人よりも体重が減少しやすいと言われています。つまり低栄養になりやすいということです。

低栄養を防ぐためには、落ち着いて安心して食事をしてもらうことが必要ですし、その人の食べやすいやわらかさや大きさに揃っていることも大切です。

そのためには、ユニバーサルデザインフードのランクを参考にしながら、栄養不足にならないよう介護食を作ることが必要になってきます。しかし毎日「やわらかさ」「栄養」を考えて作るのは大変です。

そこで週のうち何度かは、宅配の介護食弁当を取り入れる方法もあります。季節を感じてもらえる食材も使われていますので、時間や季節を少しでも思い出し、喜んでもらえるかもしれません。

この記事の提供元:シルバーライフ

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