こんにちは!配食のふれ愛のコラム担当です!
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お酒を飲む量が増えるこの時期、注意したいのが「急性膵炎」です。
膵臓は沈黙の臓器とも言われるほど自覚症状が出にくく、症状が出た時にはすでに病気が進行していることもあります。
ここでは、膵炎の原因や治療法、食事療法などについて詳しく解説します。
目次
膵炎とは?
膵臓は消化に必要な膵液や血糖値を調整するホルモンを分泌する臓器で、胃の裏側あたりに位置します。
膵臓から分泌される膵液には糖質やタンパク質、脂肪などを分解するための様々な種類の酵素が含まれており、食べ物の消化を助ける働きをします。
また、胃酸は強力な酸性であるため胃以外の消化管の粘膜を損傷して潰瘍を形成しやすくしてしまいますが、膵液の働きにより胃酸が中和され消化管の粘膜が守られています。
さらに、膵臓にはランゲルハンス島というホルモンを分泌する器官があり、グルカゴンという血糖値を上げるホルモンやインスリンという血糖値を下げるホルモンなどが分泌されており、これらの働きによって血糖値はほぼ一定に保たれています。
膵臓が何らかの原因により炎症を起こすことを膵炎といい、急性膵炎と慢性膵炎があります。
急性膵炎では、膵臓内で消化酵素が活性化されてしまうため、膵臓が自分自身を消化してしまうことで発症します。この働きを自己消化と呼びます。
膵臓の自己消化が起こると膵臓の組織が壊死したり、出血を起こしたりしてしまいます。
さらに、重症化すると様々な合併症をきたして致命的となることがあります。急性膵炎は男性に多く、男性では50代、女性では70代に多く発症します。
慢性膵炎は、持続的な膵臓の炎症で正常な細胞が壊れて膵臓が硬くなる線維化や、膵液の通り道である膵管に石が出来て詰まってしまうことなどによって発症します。
進行すると膵臓の機能が低下し、糖尿病の発症・悪化を招くことがあります。慢性膵炎も女性より男性に多く、男女とも40~50代に多く発症します。
急性膵炎の原因や症状は?
急性膵炎の原因の30~40%がお酒の飲み過ぎによるものです。
日本酒で3合以上、ビール大瓶3本以上、ウイスキー1/3瓶以上の飲酒を10~15年以上続けると発症しやすくなります。
次いで急性膵炎の原因として多いのは胆石です。
また、薬物性や内視鏡検査の合併症としてもみられることがありますが、急性膵炎の20%が原因不明と言われています。
急性膵炎では激烈な腹痛が持続し、背中まで痛みが広がることがあります。また、吐き気や嘔吐、発熱などの症状もみられます。
重症化すると腸管の運動が麻痺して腸閉塞をきたし、血圧が低下してショック状態に陥ることもあります。
場合によっては意識障害や呼吸障害、多臓器不全を起こし命に関わる可能性があります。
急性膵炎の治療法は?
軽症の場合には膵液の分泌を抑制するため絶食とし、脱水予防のため点滴をします。
また、急性膵炎では激痛を伴うことが多いため、痛み止めの注射をして痛みを抑制します。
他にも抗生剤など様々な薬剤が使われ、基本的には内科的治療が優先されます。
胆石が原因の場合や膵臓に壊死や膿瘍がある場合には、内視鏡や手術でそれらを除去することもあります。
重症例では一時的に血液透析が必要になることもあります。
入院期間は個人差がありますが、軽症で2~3週間、重症例では数か月に及ぶこともあります。
急性膵炎は治癒後も飲酒を続けていると再発するリスクが高くなります。喫煙も再発のリスクを高めます。
また、急性膵炎の再発を繰り返すと慢性化してしまうこともあり、約1割が5年以内に慢性膵炎に移行する可能性があります。
慢性膵炎の原因や症状は?
慢性膵炎の70%がお酒の飲み過ぎであり、20%が原因不明の特発性です。他にも胆石や遺伝などが原因で発症することがあります。
慢性膵炎は病気の進行程度によって、膵臓がまだ硬化しておらず治療をすれば膵臓の機能が維持できる状態を指す「代償期」と、すでに膵臓が硬くなり機能が低下した状態を指す「非代償期」に分かれます。
代償期には腹痛の発作が繰り返し起こります。腹痛は、お酒を飲んだり脂肪が多い食事を摂ったりした時に起こりやすいのが特徴です。
経過中は膵臓に炭酸カルシウムによる結石ができやすく、慢性膵炎の進行を速める原因となります。
非代償期となると腹痛は軽減しますが、膵臓の機能が低下している状態であるため、食べ物を消化する酵素や血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が減少してしまいます。
消化酵素が減少することで便に脂肪が混ざったり、下痢を起こしやすくなったりします。
また、栄養が十分に吸収できなくなるため、体重が減少することもあります。
さらに、インスリンが正常に分泌されなくなることで血糖値が高いままとなるため糖尿病を発症することもあります。
中には、腹痛など自覚症状が全くないまま進行し、糖尿病を発症して初めて慢性膵炎が分かることもあります。
さらに、進行すると膵臓癌(膵がん)を発症するリスクが高まります。膵がんはがんの中でも治療が難しいと言われています。
慢性膵炎の治療法は?
現代の医療では慢性膵炎を根本的に治療する方法はありません。最も大切なのは禁酒です。
症状や進行を抑えるために、膵臓が自分自身を消化しないように酵素の作用を抑制する薬の内服を継続します。
一時的に症状が落ち着いても、薬を飲むのをやめると再発する可能性があるため、定期的に受診して治療を継続することが大切です。
喫煙も膵炎を進行させるため禁煙を行います。糖尿病や消化吸収障害があればインスリン療法や分泌が低下した消化酵素の補充が必要となります。
また、膵石が膵管に詰まり腹痛をもたらしている場合には、内視鏡や手術で膵石の除去などが行われることもあります。
慢性膵炎は、時に急性膵炎のような激烈な腹痛を伴う急性の炎症を起こすこともあり、その場合は急性膵炎と同様に入院による治療が必要になります。
膵炎の食事療法とは?
基本的には規則正しく栄養バランス良く食べることを心がけ、脂肪の摂取制限量を守ることが大切となります。
必要エネルギー量は良質なタンパク質をしっかり摂って補いましょう。
膵炎を再発させないために欠かせないことは禁酒です。
飲酒は腹痛を引き起こすだけでなく、過度な飲酒を続けると膵臓の細胞が壊れ、徐々に消化酵素の分泌が減少するため消化吸収不良を起こしやすくなります。
病気の進行を防ぐためにはお酒をやめる必要があります。
◎急性膵炎
急性膵炎の場合には、絶食の後流動食から開始となり、徐々に三分粥~五分粥~七分粥~全粥へと移行していきます。
症状が回復してもしばらくは、煮る・蒸す・茹でるなど油を使用しない調理法で、糖質を中心とした食事を摂ります。
天ぷら、フライ、中華料理など油を多く使った食品はもちろん、マヨネーズやバター、ドレッシングなどにも注意しましょう。
また、炭酸飲料やカフェイン、香辛料など刺激の強いものは避けるようにします。
<急性膵炎回復期に適した食品>
項目 | 食品 |
炭水化物 | お粥、うどん |
肉類 | ささみ |
魚介類 | 白身魚 |
野菜・果物 | 繊維の少ない野菜・果物、イモ類、果汁、ジャムなど |
大豆製品 | 豆腐 |
◎慢性膵炎
慢性膵炎では代償期と非代償期で脂肪の摂取量が異なります。代償期では1日の脂肪の摂取量は30g以下とします。
非代償期では、脂肪を極端に制限してしまうと摂取エネルギー量が減少し栄養不足、体重減少を招いてしまうため、1日の摂取エネルギー量を標準体重×30~35kcal程度を目安に脂質は40~60g程度摂取することが推奨されています。
慢性膵炎でも、急性膵炎同様に刺激物は避けるようにします。
また、慢性膵炎の食事療法では基本的に胃に負担をかけないものを選ぶ必要があります。
胃に食べ物が入ると脳から消化酵素を出す指令が出て、膵臓から膵液が分泌されます。膵臓の負担を減らすために消化に良いものを食べるようにしましょう。
<消化に良い食品と控えた方が良い食品一覧表>
種類 | 消化に良い食品 | 控えた方が良い食品 | |
たんぱく質 | 肉類 | 牛赤身肉、豚赤身肉、鶏肉(皮は取り除く)、鶏ささみ、レバーなど | 脂肪の多い肉(牛・豚バラ、ロース、霜降り肉、ベーコン)など |
魚類 | 白身魚、アジ、エビ、貝柱、練り製品 | いか、たこ、干物など | |
卵 | 鶏卵、うずらの卵 | ||
豆類 | 豆腐、高野豆腐、こしあん、ひき割り納豆など | 大豆、小豆、つぶあん、おから | |
乳製品 | 牛乳、チーズ、ヨーグルトなど | ||
糖質 | 穀類 | 軟飯、お粥、食パン、うどん、 マカロニ、スパゲティなど | 玄米、赤飯、ラーメン、とうもろこしなど |
芋類 | じゃがいも、里芋、長芋 | さつまいも、こんにゃくなど | |
果物 | りんご、もも、バナナ、缶詰類など | パイナップル、みかん、柿、干し柿、ドライフルーツなど | |
脂質 | 油脂 | バター、マーガリン、マヨネーズ、食物油 | ラード、油の多いドレッシング、油の多い料理(揚げ物、中華料理)など |
ビタミン ミネラル | 野菜 | 緑黄色野菜:かぼちゃ(皮なし)、人参、ほうれん草、小松菜、トマト(皮なし)など 淡色野菜:大根、キャベツ、レタス、きゅうり、玉ねぎ、なす(皮なし)、かぶ、白菜など | 硬い繊維の野菜(ごぼう、たけのこ、レンコン、山菜、セロリなど) きのこ類、漬物など |
海藻 | のり佃煮 | わかめ、昆布、ひじきなど | |
その他 | 飲料 ・ 菓子 | ビスケット、ゼリー、プリン、カステラ、米菓子、ウエハースなど | アルコール飲料・炭酸飲料・コーヒーなど 揚げ菓子、チョコレート、生クリームの多いケーキなど |
・分食する
→膵臓の負担を軽減するために、1回の食事量を減らし4~5回に小分けにして食べるようにしましょう。
・腹痛時は脂肪を含む食品を控える
→脂肪は腹痛の原因となるため、痛みがある時には脂肪は制限しましょう。
ただし、膵臓の機能が低下していると脂肪を分解する酵素が減少し、脂肪を消化吸収できないため、消化酵素を補う薬の内服が必要となることがあります。
・脂溶性ビタミンを十分摂取する
→膵臓の機能が低下すると食べ物の消化吸収が悪くなりますが、特に脂肪の消化吸収が低下します。
するとビタミンA・D・K・Eなど脂溶性のビタミンが不足しがちになるため、食事で十分に摂取するようにしましょう。
ビタミンAが多く含まれる食べ物
食品 | 食品100g当たりのビタミンAの含有量 単位:μgRAE(レチノール活性当量) |
鶏レバー | 14,000 |
豚レバー | 13,0004 |
あんこうの肝 | 8,300 |
うなぎのかば焼き | 1,500 |
ほたるいか | 1,500 |
牛レバー | 1,100 |
銀だら | 1,100 |
あなご | 890 |
モロヘイヤ | 840 |
ニンジン | 720 |
◇性別、年齢別ビタミンA摂取推奨量
年齢 | 成人男子推奨量 | 成人女子推奨量 |
18~29歳 | 850㎍RAE | 650㎍RAE |
30~49歳 | 900㎍RAE | 700㎍RAE |
50~69歳 | 850㎍RAE | 700㎍RAE |
70歳以上 | 800㎍RAE | 650㎍RAE |
ビタミンDが多く含まれる食べ物
食品 | 食品100g当たりのビタミンDの含有量 単位:μg |
あんこうの肝 | 110 |
しらす干し | 61 |
いわし(丸干し) | 50 |
身欠きにしん | 50 |
すじこ | 47 |
いくら | 44 |
かわはぎ | 43 |
紅鮭 | 33 |
いかなご | 21 |
さんま | 19 |
◇性別、年齢別ビタミンD摂取推奨量
成人男子目安量:5.5μg
成人女子目安量:5.5μg
ビタミンKが多く含まれる食べ物
食品 | 食品100g当たりのビタミンKの含有量 単位:μg |
ひきわり納豆 | 930 |
パセリ | 850 |
シソ | 690 |
モロヘイヤ | 640 |
納豆 | 600 |
明日葉 | 500 |
春菊 | 460 |
バジル | 440 |
カブの葉 | 370 |
ダイコンの葉 | 340 |
◇性別、年齢別ビタミンK摂取推奨量
成人男子目安量:150μg
成人女子目安量:150μg
ビタミンEが多く含まれる食べ物
食品 | 食品100g当たりのビタミンE(α-トコフェロール)の含有量 単位:mg |
あんこうの肝 | 13.8 |
すじこ | 10.6 |
キャビア | 9.3 |
いくら | 9.1 |
あゆ | 8.2 |
いわし | 8.2 |
たらこ | 8.1 |
モロヘイヤ | 6.5 |
うなぎのかば焼き | 4.9 |
ダイコンの葉 | 4.9 |
◇性別、年齢別ビタミンE摂取推奨量
成人男子目安量:6.5mg
成人女子目安量:6.0mg
膵炎の予防方法とは?
膵炎の予防の基本は規則正しい生活と栄養バランスの良い食事です。
膵臓を守ることは、他の臓器を守ることにも繫がり、生活習慣病の予防にもなります。日頃から健康を意識した生活を送るようにしましょう。
・必要エネルギー量を上回ったり、下回ったりせず、現在の運動レベルに合った食事をとる。
厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準」を目安に1日のエネルギー量や栄養素を摂取するよう心がけましょう。
<推定エネルギー必要量(kcal/日)>
性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
30~49歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,750 | 2,000 | 2,300 |
50~69歳 | 2,100 | 2,450 | 2,800 | 1,650 | 1,900 | 2,200 |
70歳以上 | 1,850 | 2,200 | 2,500 | 1,500 | 1,750 | 2,000 |
※身体活動レベルとは
Ⅰ:生活の大部分が座った状態で、静的な活動が中心
Ⅱ:座った状態が中心だが、移動や立った状態での作業、または通勤・買物・家事・軽いスポーツ等のいずれかを行う場合
Ⅲ:移動や立っている状態が多い生活。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣がある場合
・暴飲暴食をしない。
食事は常に腹8分目を意識し、食べ過ぎないようにしましょう。
特に消化能力が下がる夜間やストレスが多い時、夜あまり眠れていない時、体力が消耗している時、夏場などは消化に悪いものは避けた方が膵臓に負担がかかりません。
・調子が悪い時は十分に休息をとる。
心身の休息はもちろん、食事にも配慮してお腹をしっかり休めるようにすることが大切です。
消化に良い食事を摂り、飲み物は常温にして身体を冷やさないようにしましょう。
・日頃から適度な運動を心がける。
適度な運動は、消化能力を高めます。運動はストレスの解消にも効果的です。
まとめ
急性膵炎、慢性膵炎ともに過度な飲酒が発症のリスクを高めます。
膵臓の組織は壊れると元には戻りません。お酒の量を控え、禁煙や食事療法で大切な膵臓を守りましょう。
膵炎は、食生活を見直すことで重症化や再発を防ぐことができます。
食事療法を継続するには、宅配弁当のご利用が手軽で便利です。
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参考:MSDマニュアルプロフェッショナル版 急性膵炎
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/01-消化器疾患/膵炎/急性膵炎
MSDマニュアルプロフェッショナル版 慢性膵炎
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/01-消化器疾患/膵炎/慢性膵炎
簡単!栄養andカロリー計算
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