こんにちは!配食のふれ愛のコラム担当です!
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高齢者の方にとって食事は大切な意味を持っています。健康なからだを維持し、少しでも快適な暮らしを送ってもらうためには、エネルギーやたんぱく質が不足していてはいけません。
しかし高齢者の方は活動する量が減少するため、エネルギーの消費も減ってしまいます。その結果、食欲が低下し体重が減少。気がつくと気力や体力が落ち、栄養不足を招いていることもあります。
この記事では低栄養を防ぐために知っておきたい、高齢者の方が無理せず食べられる調理のコツと保存方法をお伝えしていきます。
目次
高齢者が食べやすくなる工夫とは
高齢になると体に変化が出てきます。噛む力や飲み込む力が落ちてきますので、少し前なら気にならなかった食材や食べ物が苦手になり、「食べたくない」とおっしゃることも出てきます。
そこで苦手になる食材や食べ物を、食べやすくする工夫について紹介していきます。
水分の少ないものへの工夫
水分の少ない食材や食べ物は、ゴクンと飲み込みにくいものです。これは高齢者でなくても、風邪を引いて喉が痛いときや、ひどい花粉症で喉が荒れているときに私たちも経験することがあります。
水分の少ない食材や食べ物の代表例としては次のようなものがあります。
・ゆで卵
・ふかしたいも
・フランスパン
・干物
・焼き魚
若い方なら、こういった水分の少ないものでも、口の中で唾液を上手に使ってスムーズに飲み込むことができます。しかし高齢者の方の中には唾液の量が少なくなっておられる場合もあり、唾液で食べ物を塊にして飲み込みにくくなります。
それでも、こういった食材や食べ物は食べたいものです。そこで次のような工夫をすることで、安心して食べてもらえます。
・ゼラチンや片栗粉で「とろみ」をつける
・ヨーグルトを加える
・クリームシチューのような酸っぱくないクリーミーなドレッシングと一緒に食べてもらう
パラパラしたものへの工夫
パラパラしたものは、口の中で塊になりにくいものです。また、パラパラとしているため、自分の意志とは関係なく喉へ入ってしまい「むせる」こともあります。
次のような食材や食べ物はパラパラしているため気をつけましょう。
・挽き肉
・ピーナッツ
・枝豆
・野菜のみじん切り
・冷やご飯
・硬めのかゆ(三分がゆ)
どれも喉につかえそうなものばかりです。このような食材や食べ物は、次の工夫をすることで食べやすくなります。
・かたい部分(皮や筋)を取り除く
・取り除いたものを、舌と上顎で押しつぶせるくらいに蒸してやわらかくする
・最後は粒状にせず3cmくらいの長さに切りましょう
くっつくものへの工夫
高齢者でなくても一度くらいは経験があると思います。例えば「のり」を食べたとき、上顎に張り付いてしまったことはありませんか?
同じようなことが高齢者の方に起こると、せきこんだりむせたりするため体への負担が大きくなります。そこで「のり」のような食材や食べ物
・わかめ
・もなかの皮
・ウエハース
・薄切り肉
・薄い葉っぱの野菜
を食べてもらう場合には、次のような工夫をしましょう。
・ゼラチンや片栗粉で「とろみ」をつける
・粘りのある「おくら」「山芋」などと一緒に食べてもらう
・薄切り肉や葉っぱの野菜はクルッと巻いておく
こうすることで、くっつくことが減ります。
ぐにゃぐにゃしたものへの工夫
ぐにゃぐにゃしたもののイメージは、あまりないかもしれません。ぐにゃぐにゃしたものとは、次のような食材や食べ物です。
・こんにゃく
・ちくわ
・かまぼこ
・なめこ
・しめじ
・しいたけ
お餅やこんにゃくゼリーも仲間です。口に入れると弾力と粘り気が強いものが「ぐにゃぐにゃ」したものです。
このような食材や食べ物は、次の工夫をすることで喜んでもらえます。
・「かまぼこ」「ちくわ」ではなく「はんぺん」を食べてもらう
・キノコは「まいたけ」「えのき」のようなスッと割ける食材にする
・こんにゃくゼリーはヘルシーですが、普通のゼリーにしてもらう
まったく同じ味は再現できません。しかし、歯ごたえや感触は楽しんでもらえるはずです。
くずれやすいものへの工夫
口の中に入れると簡単に形がくずれてしまうものは、やわらかいので高齢者に向いていると思いがちですが、実は飲み込みにくく食べづらいのです。
木綿豆腐などは大変やわらかいため、口の中にいれるとすぐに形がくずれます。お豆腐が食べたいとおっしゃる場合には、絹ごし豆腐を選ぶか、とろみをつけておきましょう。
飲み込む力が強いときには「豆腐だから大丈夫」と考え全く気にすることのない食材ですので、ご家族やまわりの方の理解が必要です。
飲めるものへの工夫
飲める食材や食事も高齢者には負担が少ないと考えがちです。しかし、飲み込む力が低下している方にとっては、スッと喉を通ってしまうのも負担が多いのです。
・もずく
・じゅんさい
・水
・お茶
・ジュース
そして、みそ汁は「汁」と「具(固形物)」が口の中で分かれますので、飲み込むのが難しくなります。
どれも、喉の通りが良すぎると「むせる」原因になります。そこで次のような工夫をすることで、むせる苦しさを経験せず安心して口にしてもらえるようになります。
・みそ汁などはゼラチンや片栗粉で「とろみ」をつける
・水分の多いものはスプーンで少しずつ口に含みながら、ゆっくり噛んで飲み込むようにする
どちらも焦らせないことが大切です。
すっぱいものへの工夫
すっぱいものは、口の中をすっきりさせてくれますから、たまには食べたいものです。
・梅干し
・レモン
・夏みかん
こういったものは季節を感じることのできる食材ですから、ご家族も食べてもらいたいと考えられることでしょう。
また、
・酢味噌
・酢醤油
・ゆず味噌
など、懐かしい味を食べたいとおっしゃることもあると思います。
こういった酸っぱい食材や食べ物は、酸味によって喉が刺激され「むせる」原因になります。
そこで次のような工夫をすることで、季節や懐かしさを感じてもらえることでしょう。
・酢は熱を通して酸味を少なくする
・レモンや柑橘系のものは、香りづけをして楽しんでもらう
高齢者にとって「むせる」ことは、肺炎を引き起こす原因にもなりかねません。酸味が強くならないように注意しておきましょう。
粉っぽいものへの工夫
きな粉、粉がふられた和菓子。高齢者の方にとっては、懐かしくもある食べ物です。
こういった食材や食べ物は口の中に入れると、サッと口の中の水分を吸収してしまいます。そのため、口の中に残った粉が喉へ吸い込まれることで「むせる」原因になります。
先ほどの「すっぱいもの」でもお伝えしましたが、むせることは体への負担も大きいですし、別の症状を引き起こす原因になることもあります。
ですから、粉っぽいものは使わず、シロップのような「とろみ」のあるものをつけるようにしましょう。
繊維が多いものへの工夫
野菜に多いです。
・ごぼう
・たけのこ
・ねぎ
・アスパラガス
・れんこん
どれも繊維質な食べ物です。これらはかみ切りにくいため、高齢者の方が苦手とする食材です。
しかし、栄養のバランスを考えると、定期的に食べてもらいたいところです。そこで、次のような工夫をしてみましょう。
・繊維に沿って垂直に3~4cmくらいに切り、やわらかくなるまで煮込む
・食べるときには一口大の大きさにしておく
やわらかさについては「噛む強さ」によりますので、ユニバーサル・デザイン・フードの指標を参考にしてください。
※ユニバーサル・デザイン・フードとは、日本介護食品協議会が制定した「かたさ」の区分です。
(URL https://www.udf.jp/outline/udf.html)
すするものへの工夫
そば、うどん、ラーメン。スパゲッティなど一般的には麺類と呼ばれる食べ物です。
「すする」という食べ方は、喉の力を必要とします。上手くすすれないと、むせますので体への負担が大きくなります。
どうしても麺類を食べたいとおっしゃる場合には、次の工夫を試してみてください。
・麺を3cm~4cmくらいに切る
・山芋やとろろと合わせて「とろみ」をつける
・熱いとむせる原因になるので、少し冷ましてから出す
夏の暑いときの冷たいそばなどは季節を感じて食事を楽しむことができます。
食べやすく調理する道具とは
高齢者の方が食べやすい調理をするためには、使いやすい道具があると大変便利です。また、介護に関係する食事は毎日のことですので、手軽にできる道具は準備しておきたいところです。
そこで、あると便利で手間を省ける調理器具を紹介します。
小さいお鍋
食材をやわらかくすることが多くなります。だからといって少ない食材を大きな鍋で湯がくのは面倒なもの。そこで毎回必要な分だけを湯がく「小さなお鍋」を一つ用意しておきましょう。
少ししか必要のない野菜を、ゆでる、蒸す、お湯を沸かすということが、小さなお鍋一つで簡単に出来てしまいます。
夏の暑い季節なら小さなお鍋でお湯を沸かすと、あっという間に沸きます。火の近くで暑い思いを長時間する必要もなくなります。
蒸し器
やわらかくするために蒸すということが増えます。そんなとき、小さなお鍋でも出来るのですが、もっと簡単に蒸すためには「耐熱皿」「耐熱ボール」を用意しておきましょう。
野菜などを耐熱皿やボールに入れ、電子レンジでチンするだけで、手軽に蒸すことができます。
毎回大きな蒸し器を出したり片づけたりするのは面倒ですし、後かたづけも大変です。毎日のことですから、手間のかからない方法も用意しておくのがベストです。
ミキサー
無くてはならない料理器具がミキサーです。
特に、「全がゆ」や「ペーストがゆ」でないと食べることが難しくなられたときには、食べ物を滑らかにすることが必要なのでミキサーやフードプロセッサーが活躍します。
また、ちょっとしたおやつや少量の食材を食べやすくしたいときのためには、小さいスティックミキサーと呼ばれるものがあると便利です。
手だけでペースト状にするのは大変です。どうしてもムラが出来てしまいますのでミキサーは準備しておきましょう。
3つの食材調理のポイント
食材には大きくわけると、次の3つの種類があります
・お魚
・お肉
・野菜
それぞれに、高齢者の方が食べやすくなる調理のポイントがあります。
お魚 | 蒸す・照り焼きがおすすめ。お刺身は、まぐろ・はまち・ぶりなどが食べやすい。 生食で、たこ・いか・貝類・カレイなどは噛みにくいので注意。また、かつお・まぐろ・いか・たこ・貝類は焼くと硬くなるので気をつけましょう。 |
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お肉 | 筋は切り目を入れましょう。肉叩きで叩いて柔らかくします。ひき肉を使う場合は「練る」ことでバラつかないように。 |
お魚 | 筋や皮を取りましょう。残っていると噛み切れません。 繊維質の野菜は、繊維に沿って垂直に切り、一口大の大きさに揃えると食べやすくなります。 いも類などはパサつきやすいので「とろみ」と一緒に食べてもらうと安心です。 |
家庭でできる簡単保存方法
調理は毎日のことです。そこで冷凍することで、作りおきしておける簡単な保存方法をご紹介します。
まず、最初に知っておいていただきたいことは、保存に向くものと向かないものがあることです。
■冷凍保存に向くもの
・スープやソース
・裏ごしした野菜
・水分が少ないもの
・塩や調味料に浸けたもの
・糖分の多いもの
・加熱して調理したもの
■冷凍保存に向かないもの
・水分の多い野菜
・牛乳などの製品
それでは、家庭で出来る冷凍保存の方法です。
STEP1:作りおきする食べ物を小分けにする
STEP2:食べ物をラップに包んだ後、その上からアルミホイルで包みます。こうすることで冷気が素早く伝わります。
STEP3:アルミ製のトレーに置き、冷凍庫へ入れ急速冷凍します。
ポイントは一気に冷凍することです。
解凍するときも、短時間で解凍するようにしましょう。電子レンジで解凍し、解凍した後に水が出ている場合は、キッチンペーパーに吸わせると上手に取ることができます。
一度解凍したものを再冷凍するのはやめましょう。味や品質だけではなく衛生面にも不安が残ります。
高齢者が食べやすい調理のコツまとめ
高齢者の方が食べやすい食事は、健康な体を維持することにもつながります。しかし、それだけではありません。食べやすい食事は気分も良くなりますし、季節を感じ楽しんでもらうことにもつながります。
今回ご紹介しました調理のコツと保存方法を参考にしていただき、少しでも楽に食事の準備をしていただきたいと考えています。
とはいっても、毎日作るのは大変です。ですから週に一度や二度は介護食の宅配弁当を利用するという方法もあります。そうすることで、いつもと違った食事を楽しんでもらうこともできるでしょう。