こんにちは!配食のふれ愛のコラム担当です!
栄養バランスのよい食事をとりたい方へ、お弁当の無料試食はこちらから!
高齢者の定義が65歳から70歳に変わると言われています。
高齢者の定義として年齢が引き上げられるかどうかは別にして、誰もがいつかは高齢者になることは間違いありません。そして年齢が進むと共に体の機能は低下し、食事の量も低下することで知らない間に栄養不足になっていることもあります。
この記事では「噛む力が弱ったかな?」と感じ始めたご家族がいらっしゃる方へ、栄養不足になる原因や予防のための介護食、ユニバーサルデザインフードについてお伝えしていきます。
目次
低栄養は負のサイクルの原因にも
低栄養は気づきにくいものです。気づかないうちに、体と心が負のサイクルに入ってしまっていることもあります。まずは低栄養について見ていきましょう。
低栄養とは
低栄養とは、体を健康に保つために必要なエネルギーやたんぱく質が不足している状態です。
高齢になると食事を簡単にしたり、食べる量を少なくしたりするため体に必要な3大栄養素である「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」が不足しがちになる方が増えてきます。
もし不足したままの状態が続くと免疫力の低下によって病気にかかりやすくなることもあります。
食欲低下は栄養不足に
高齢になると1日の中で動く量が少なくなります。そのためエネルギーの消費量も減り、お腹が空きにくくなるため健康な状態でも食欲が低下します。そうすると「食べる量が減る=必要な栄養が摂取できない」という負のサイクルに入ってしまい低栄養を招いてしまいます。
低栄養で水分不足も
低栄養な状態は気力や体力の低下を感じやすくなります。少し前まで興味のあったことや、家族とおしゃべりしていたことが面倒に感じ、朝夕に関係なく寝ている時間が増え、気分も塞ぎがちになります。
そうすると余計お腹も空きません。そしてここが分かりにくい部分なのですが、食事の量や回数が減ると水分を取る量も減っていきます。その結果、季節に関係なく脱水症状を起こす可能性が出てきます。
低栄養は、このように体や心全体を負のサイクルに巻き込む可能性があります。
それではここで、あなたの低栄養チェックをしておきましょう。低栄養のチェックには、厚生労働省が示している「BMI」を用います。
BMIの計算式は以下の通りです。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
例えば、65歳の女性、体重48kgで身長が152cmの方のBMIは、
48(kg) ÷ 1.52(m) ÷ 1.52(m) = 20.7
これを厚生労働省が示している下のBMI表と照らし合わせます。目標とするBMIよりも計算した数値が低い場合は、低栄養の可能性が高いと言えます。
年齢 | 目標とするBMI |
60歳代 | 20.0~24.9 |
70歳以上 | 21.5~24.9 |
出典:『日本人の食事摂取基準(2015 年版)策定検討会報告書』より抜粋
今回の例の場合、60歳代の目標値の範囲に入っていますので、この方は低栄養ではないということになります。
ぜひ「BMI」を計算してチェックしてみてください。
低栄養の原因は体の変化
低栄養についてお話しました。次は、どうして高齢者が低栄養になりやすいのか、その原因の根幹となる体の変化を見ていきましょう。
かむ・飲み込む
誰しも高齢になると健康な歯の本数が減ってきます。日本歯科医師会では「8020(ハチマルニイマル)運動」と呼ばれる「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という運動を行っていますが、この目標をクリアできる方は多くありません。そして歯の本数が減ることで「噛む力」が低下します。
また、歯の本数以外にも、喉の筋力も年齢と共に低下していきます。そのため食事を「飲み込む」ことが難しくなり、咽せる原因になることがあります。
誰でも同じですが、噛みにくい、飲み込みにくいと食事を楽しむことはできません。当然、食事の量も減っていきます。
唾液の減少
高齢になると唾液の量も減っていきます。そのため食べ物を飲み込みにくくなりますし、噛まずに無理に飲み込むと今度は胃に負担が掛かります。
飲み込みにくい。無理に飲み込んでも胃が重い。これでは食事を簡単に済ませたくもなります。
見えにくく聞こえにくい
見落とされやすいことですが、高齢になると視野が狭くなったり、ぼやけて見えにくくなったりすることがあります。また、まわりの声が聞こえにくくなることもあります。
そうすると食事の時、テーブルの端にある食べ物が見えていないということが起こります。誰かが食べ物があると言っていても聞こえていないこともあります。
本人としては、見えてない、聞こえてないわけですから、いくら栄養を考えた食事でも食べることはありません。
こういった理由で栄養不足を起こすこともあります。
味が感じにくい
味覚を感じる舌にある細胞が減ることで、味を感じにくくなる方もいらっしゃいます。
苦い、すっぱい、は比較的感じやすいのですが、食事に大切な、甘味と塩味が感じにくくなります。
そのため人によっては、これまでよりも濃い味を好む方、味がしないからと食べない方が出てきます。
濃い味を好む方は、低栄養になりにくいのですが、生活習慣病などを引き起こす可能性が高くなります。味がしないため食べない方は、低栄養を引き起こす原因になります。
消化不良を起こしやすい
どうしても高齢になると胃や腸などの消化器系の働きが低下します。
そのため少ししか食べていなくても「胃が重い」「下腹が張る」という不快な症状に悩むことになります。
そうすると年齢に関係なく人は、食べる量を控えるようになります。食べることで、より不快な思いをしたくありませんから当然の判断です。
しかし、この判断が高齢者の場合、低栄養を招く原因になります。若い方ならしばらくすると胃や腸が元気になり、また食べ始めることができます。しかし高齢者の場合は、急激に消化器系が元気になることはありませんので、いつまでも食べない状態が続きます。
低栄養のわかりやすい原因は食事から遠ざかることですが、遠ざかるそもそもの原因は高齢者の体の変化にあります。
体の変化を理解することで、どのような食事ならおいしく楽しく食べてもらえ、栄養不足にならないのか配慮することが大切です。
低栄養予防には介護食が重要
低栄養にならないため、高齢者の体の変化に配慮した食事を考えるときに重要なのが介護食です。
最近食事に時間が掛かっているな。
食事中にむせていることが多いな。
なんだか食べにくそうにしているな。
そんなことに気がつかれたら、本人さんが食べやすい食品「ユニバーサルデザインフード」を選んで試してもらいましょう。
ユニバーサルデザインフード(UDF)とは
ユニバーサルデザインフード、略して「UDF」と表記されることもあります。
ユニバーサルデザインフードとは、食べやすさに配慮した食品のことを言います。
・レトルト食品
・冷凍食品
・とろみ食品
などがあり、噛む力や飲み込む力に合わせて選べる規格です。詳しくは以下の選び方の区分表をご覧ください。
「ユニバーサルデザインフード」の選び方(区分表)
区分 | 容易にかめる | 歯ぐきでつぶせる | 舌でつぶせる | かまなくてよい |
かむ力の目安 | かたいものや大きいものはやや食べづらい | かたいものや大きいものは食べづらい | 細くてやわらかければ食べられる | 固形物は小さくても食べづらい |
飲み込む力の目安 | 普通に飲み込める | ものによっては飲み込みづらいことがある | 水やお茶が飲み込みづらいことがある | 水やお茶が飲み込みづらい |
かたさの目安(ごはん) | ごはん~やわらかごはん | やわらかごはん~全がゆ | 全がゆ | ペーストがゆ |
かたさの目安(さかな) | 焼き魚 | 煮魚 | 魚のほぐし煮(とろみあんかけ) | 白身魚のうらごし |
かたさの目安(たまご) | 厚焼き卵 | だし巻き卵 | スクランブルエッグ | やわらかい茶碗蒸し(具なし) |
出典:日本介護食品協議会:「ユニバーサルデザインフード」選び方(区分表)より抜粋
UDFは食事の仕方で選ぶ
ユニバーサルデザインフードを選ぶ場合は、食事の仕方に注目してください。
・食事を噛んで食べているのか
・食事を口の中でモゴモゴさせて、歯ぐきでつぶしているのか
・食事を口に入れたら「ゴックン」と飲み込んでいるのか
また、食事を口に運ぶとき、どれくらいの大きさにして運んでいるのかを見ると、食べやすい状態がわかってきます。
栄養を取るには介護食にも好みは大切
ユニバーサルデザインフードで食べやすい「かたさ」が見つけられれば、そのかたさに合わせてご家庭で介護食を作ることができます。
せっかく作るのですから、見た目から「食べたい!」と感じてもらえる楽しい食事が一番です。
それでは高齢者にとってうれしい食事と、そうでない食事を見ておきましょう。
高齢者がうれしい食事とは
誰でも同じだと思いますが、うれしい食事とは「食べ慣れた料理」です。天ぷらや煮魚、茶碗蒸し、すき焼きなど。
また、味のわかりやすい料理も高齢者には喜ばれます。焼きそばやカレーライスなどは食べ慣れていることからも、うれしい食事です。
他には、やわらかいもの、とろみのあるものは食べやすいので喜ばれます。白あえやクリームシチューは「とろみ」があるので食べやすいです。
こういった食事は、調理に一工夫することで食べやすくできます。魚は蒸す。肉は薄切りを重ねて厚みを出す。野菜はやわらかくなるまで煮る。ちょっと工夫をすることで、噛むこと、飲み込むことが難しい方にも安心して食事を楽しんでもらえます。
高齢者が苦手な食事とは
次は苦手な食事です。
(1)パサパサしたもの
水分が少ないものは、飲み込みにくいです。こういった食事は、とろみをつけることで食べやすくなります。
(2)パラパラしたもの
口の中で塊にならないものは、飲み込むときに咽せることがあります。
野菜などは細かく粒にするよりも、3cmくらいの長さに切り、舌と上顎で押しつぶせるくらいのやわらかさにすると、安心して食べられるようになります。
(3)くっつくもの
上顎にくっつくもの。昆布やわかめ、もなかの皮は食べづらいです。
とろみをつけることで食べやすくなります。
(4)粘りや弾力の強いもの
おもち、かまぼこ、こんにゃくなどは、喉に詰まるので危険です。
粘りや弾力のあるものは避けましょう。
(5)水分の多いもの
お水などは、すぐに喉を通るため咽せる原因になります。
スプーンで少量ずつ口に入れて飲む。または、とろみをつけるなど工夫しましょう。
(6)酸味が強い
レモンや梅干しは酸味が強いため、喉が刺激されると咽せる原因になります。酸味はある方が食事も楽しめますが、香りをつけるくらいにしておくのが安心です。
これからの介護食に求められること
噛む力が弱った人のために介護食は毎日必要なものです。そして家族が毎日用意するのは大変すばらしいことです。しかし、現実的に毎日続けるのは疲れてしまう原因になってしまいます。
そこで栄養バランスの取れた介護食の宅配弁当などを利用することも大切です。ユニバーサルデザインフードの規格から選べるお弁当なら、高齢者の方にも安心しておいしく食べてもらえます。
手作りする介護食と宅配する介護食をバランス良く使うことで、介護する人、される人、どちらも無理せず健康に暮らせることが一番大切なことです。
まとめ
栄養のバランスは大切だとご家族も本人さんも分かってはいても、なかなか毎日の食事に気を配り続けることは簡単なことではありません。
そこで今回ご紹介しました、ユニバーサルデザインフードを参考にして、市販の介護食と家庭の介護食を合わせながら、栄養バランスを保っていただきたいところです。
そして大切なことなのでもう一度繰り返しますが、「全部家庭で!」と介護に完璧を求めるよりも、食べやすさや栄養バランスにも配慮されている介護食の宅配弁当の利用も検討してみてください。